EXHIBITIONS

コレクション展「内なる風景」

澤田哲郎 シベリヤの密葬 1948 神奈川県立近代美術館蔵

松本竣介 立てる像 1942 神奈川県立近代美術館蔵

宮崎進 すべてが沁みる大地 1992 神奈川県立近代美術館蔵

浜田知明 忘れえぬ顔A 2008 神奈川県立近代美術館蔵

 神奈川県立近代美術館 葉山は「生誕110年香月泰男展」(9月18日~11月14日)にあわせ、コレクション展「内なる風景」を開催する。

 太平洋戦争とシベリア抑留の体験を描いた「シベリア・シリーズ」で、戦後洋画史に確固たる地位を築いた香月泰男(1911〜1974)。香月と同様にシベリア抑留体験を持つ澤田哲郎(1919〜1986)と宮崎進(1922〜2018)は、その記憶を心に迫る作品として残した。

 今回のコレクション展では、澤田や宮崎をはじめ、戦争に向き合い、命を削るように描いた松本竣介(1912〜1948)や靉光(1907〜1946)、過酷な従軍生活をもとに自己の心の痛みにとどまらない内面の複雑な表現を展開した浜田知明(1917〜2018)ら画家を取り上げ、それぞれの忘れがたい記憶をつなぐ。約20点の作品から、香月と同じ時代を生きた作家たちに通底する生と死、戦争への思いを感じ取る機会としたい。

 また本展では、香月が憧れを抱いた梅原龍三郎をはじめ、東京美術学校(現・東京藝術大学)の同期生だった髙山辰雄(1912〜2007)と柳原義達(1910〜2004)、さらに松田正平(1913〜2004)、野見山暁治(1920〜)など生前に親交のあった作家も紹介する。