EXHIBITIONS

渡辺省亭 -欧米を魅了した花鳥画-

2021.05.29 - 07.11

渡辺省亭 牡丹に蝶の図 1893(明治26) 絹本着色 1幅 個人蔵

渡辺省亭 萩にうさぎの図 絹本着色 1幅 個人蔵

渡辺省亭原画、濤川惣助作 七宝荒磯鶚図額 1889(明治22) 七宝 1面 個人蔵

渡辺省亭 四季江戸名所(冬 墨堤の雪) 絹本着色 4幅のうち 個人蔵

渡辺省亭 ちぬの浦浪六『奴の小万』 口絵(春陽堂刊) 1892(明治25) 多色摺木版 個人蔵

渡辺省亭 『美術世界』二十五巻より《雀啣落花》(春陽堂刊) 1894(明治27) 多色摺木版 個人蔵

 日本美術の知られざる名匠・渡辺省亭(わたなべ・せいてい、1852~1918)。その全貌を明らかにする初の大規模回顧展「渡辺省亭 -欧米を魅了した花鳥画-」が岡崎市美術博物館に巡回する。

 省亭は明治〜大正にかけて華々しく活躍した日本画家。明治維新のさなか、歴史画家の菊池容斎(きくち・ようさい)に入門し、書の基礎を学んだ。その後、日本画家として初めて渡欧。エドガー・ドガをはじめとした印象派の巨匠と交流し、また繊細で洒脱な花鳥画が海外で高く評価された。

 帰国後は、博覧会や展覧会に花鳥画を中心に出品し、のちに日本画の伝統に写生に基づくリアルな表現を加味した独自の画風を確立。迎賓館赤坂離宮(国宝)の「花鳥の間」を飾る七宝額の原画を描くなど実力が認められた。しかし明治30年代以降は次第に画壇から距離を置き、68歳で亡くなるまで市井の画家として精力的に作品を制作。そのため展覧会で紹介される機会が少なくなっていった。

 本展では海外からの里帰り作品を含め、これまであまり知られてこなかった個人コレクションを中心に、省亭の全画業を紹介。前期・後期展示あわせて、およそ100件の作品が揃う。