EXHIBITIONS

きらきらでん(螺鈿)

2021.01.09 - 02.14

樹下人物螺鈿硯屏(じゅかじんぶつらでんけんびょう) 1基 木胎漆塗 中国・元~明時代 14~15世紀 根津美術館蔵

楼閣人物螺鈿卓(ろうかくじんぶつらでんしょく) 1基 木胎漆塗 中国・元時代 14世紀 根津美術館蔵

紫陽花蒔絵螺鈿文箱(あじさいまきえらでんふばこ)(部分) 1合 木胎漆塗 日本・江戸時代18世紀 根津美術館蔵

楼閣人物螺鈿箱(ろうかくじんぶつらでんばこ) 1合 木胎漆塗 中国・元時代 13~14世紀 根津美術館蔵

裂地螺鈿小箪笥(きれじらでんこだんす) 1基 木胎漆塗 日本・江戸時代 18~19世紀 根津美術館蔵 福島静子氏寄贈

「螺鈿(らでん)」は、輝く真珠層をもつ貝を文様のかたちに切り抜き、はめ込みや貼りつけをする装飾技法のこと。「螺」は巻き貝、「鈿」は貝で装飾することを意味し、主に夜光貝や鮑貝を素材に、アジア圏では漆工技法にも取り入れられた。

 貝片の色はたんなる白ではなく、内から放光するかのような青から赤のグラデーション。貝と漆独特の美しい艶とで織りなされる螺鈿の世界は古来、人々を魅了してきた。

 日本では奈良時代、唐から高度な技術が入ってきたことから螺鈿の歴史が始まり、国内で厚貝の技法が発達。鎌倉時代には、新たに中国大陸から薄貝螺鈿がもたらされた。とくに、薄貝螺鈿の技法を取り入れたのは琉球王国。いっぽう日本全体で大きな影響を受けたのは、近世初頭の朝鮮時代(李朝)からの螺鈿で、以降、国内の螺鈿は百花繚乱の様相を呈し、現在に至る。

 根津美術館の企画展「きらきらでん(螺鈿)」では、同館の所蔵品を中心に、日本における螺鈿技術の受容と展開の歴史をたどるもの。影響関係にあった中国大陸・朝鮮半島・琉球、そして日本の螺鈿技術を概観し、長い歴史のなかで育まれてきた、きらきらの螺鈿の魅力を紹介する。