KINJO個展「ARAKAWA GARDENER」

　アーティスト／スケーター・KINJOの個展が「OIL by 美術手帖」ギャラリーで開催中。会期は11月18日まで。

　KINJOは東京・足立区を拠点に活動。荒川の橋の下にスタジオを構え、「暗闇に光る目」「色とりどりの毒蛇」など、カウンターカルチャーに多く用いられる怪しげな記号をモチーフとしたペインティングの制作を行う。これらの刺激的なモチーフは、描いては消しという往復の作業のなかで、アウトラインや色面が薄ぼけて曖昧となり、かつ愛嬌のある姿へと変化。記号やキャラクターが作家自身のポートレイトのように「個人的な存在」に変容していくのが、KINJOの作品の特徴となっている。

　本展のタイトル「ARAKAWA GARDENER」は、KINJOのスタジオから荒川を挟んだ向かいの河川敷に、無許可でガーデニングを続ける老人からインスピレーションを受けてつけられた。行政から何度も退去を勧告され、台風の増水で流されても、その老人はずっと荒川の河川敷に桃源郷のような空間をつくり続けているという。

　足立区の荒川沿いの地域に暮らし、橋の下にアトリエがあり、橋の下でスケートボードをして暮らしているKINJOの「半都市・半郊外」のような視点もまた、カウンターカルチャーのエッジーな概念を「緩やかな視点」で解体し、荒川の河川敷の風景に溶け込ませている。

　本展では、『少年ジャンプ』を支持体にして「シリアルのパッケージ」を描いた作品など、新作のペインティングを発表。本展の出品作の販売は、渋谷PARCO2階店舗「OIL by 美術手帖」では11月5日 17:00から、ECサイト「OIL by 美術手帖」では11月7日 16:00からとなる。