小畑多丘「ノリトグラフ2／MONOTYPES」

「B-BOY（ブレイクダンサー）」の木彫で知られるアーティスト・小畑多丘の2つの個展「ノリトグラフ2」「MONOTYPES」がギャラリー キドプレスで同時開催されている。

　小畑は1980年埼玉県生まれ。2006年東京藝術大学美術学部彫刻学科卒業、08年同大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻修了。ブレイクダンサーとしても活躍し、その経験を生かしながら「B-BOY」シリーズを軸に、台座のない木彫、ドローイングや版画などを発表している。

「ノリトグラフ2」展では、小畑は伝統的な石版を使ってリトグラフを制作。素材の質量を感じながら制作を行う彫刻家ならではの重厚感を保ちつつ、リトグラフの特徴である豊かな濃淡と色彩の重なり合う、極めて複雑な表現が施された作品が並ぶ。

　いっぽう「MONOTYPES」展では、1点しかできないモノタイプを展示。即興的に版の上で描いたイメージをエッチングプレス機の強力な圧力でくまなく刷りとったものをベースとした作品は、版画の技法的な制約にとどまるところを知らない奔放な世界へと見る者を導く。