EXHIBITIONS

エキソニモ UN-DEAD-LINK アン・デッド・リンク

インターネットアートへの再接続

エキソニモ UN-DEAD-LINK 2008(参考図版) (左)Photo by Stefan Holenstein Courtesy of[plug.in], Basel

エキソニモ Realm 2020  HeK_Basel (バーゼル、スイス)委嘱作品

エキソニモ Heavy Body Paint 2016

 メディア・アートの領域を牽引してきたアート・ユニット、エキソニモの初となる大規模回顧展が開催。貴重な初期作から初公開となる新作まで、活動の全貌を展覧会会場の実作品と記録映像でたどる。

 エキソニは千房けん輔と赤岩やえにより1996年に結成。90年代より一般に普及し始めたインターネットをいち早く素材として扱い、ユーモアのある切り口と新しい視点を備えた作品を発表。デジタルとアナログ、ネットワーク世界と実世界を柔軟に横断しながら、テクノロジーとユーザーの関係性を露にし、実験的なプロジェクトを数多く手がけてきた。

 その実験的な姿勢は国内外で高い評価を得ており、2006年に「アルスエレクトロニカ」で《The Road Movie》がゴールデン・ニカ(大賞)に選ばれ、10年には東京TDC賞では《ANTIBOT T-SHIRTS》がRGB賞を受賞。そして翌年の第4回恵比寿映像祭のオフサイト・プロジェクトでは、《The EyeWalker》で観客参加型の大規模な屋外インスタレーションを実現し、話題となった。

 本展は、「インターネット会場」と「展示室」の2会場で構成し、オンラインとリアルが連動する新感覚の展覧会。インターネット会場では、エキソニモ自らが本展のために作成した年表をもとに、作家による全作品解説や、作品の背景を理解するための様々なキーワードなどが、パソコンやスマートフォンなどのオンライン上で鑑賞できる。

 実会場となる美術館の地下1階展示室には、作品と呼応するように解説情報を網目状に配置。実験的な展示空間が広がり、インターネット会場との連動感をリアルタイムで体感することができる。さらに、2階ロビーでは特別展示を行う。

 本展で初公開される新作のタイトルは《UN-DEAD-LINK(アン・デッド・リンク)》。インターネット上で接続できなくなった、リンク先が存在しない「DEAD-LINK(デッド・リンク)」の作品を再考し、「UN-DEAD-LINK(アン・デッド・リンク)」として、アクセス可能にするという意味が込められている。

 新型コロナ禍によって、世界中の景色が一変し、人間同士の物理的な距離をだれもが意識せざるをえない現在、オンラインとリアルを自由に横断してきたエキソニモの活動を考察することで、メディアの歴史のみならず、今日的な表現のあり方、そして人やものとのつながり方の未来と新たな可能性を探求する。