EXHIBITIONS

常設展Ⅱ

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前回の「常設展」の展示風景

 今年4月に開廊以来初となる「常設展」を開催したパープルームギャラリー。ホワイトキューブのギャラリーに作品が端正に並んだ、平常時の常設展の雰囲気を再現するような展覧会を行った。これに続く「常設展Ⅱ」では、展覧会という形式がどのような支持体の上で成立しているのかを改めて問い直す。

 本展では、ギャラリー内に作品を陳列するだけではなく、ギャラリーのファサードに大きな格子を設置。外から見ればまるで檻の中のような空間に、「密室」「展覧会の模型」「生活と労働」「社会構造」「家」などを主題とした作品を並べ、「入れ子状の室内画としての展覧会」を試みる。

 ギャラリーに設置される格子は、2015年7月にARATANIURANO(東京・白銀高輪、現在は閉郎)で開催された「パープルーム大学物語」で採用された柵状の仮設壁がもととなっており、隙間だらけで光や風を遮らない。

「パープルーム大学物語」はおびただしい量の作品と複雑な会場構成によって、情報に満ちた展示空間を実現したいっぽうで、再展示が不可能という問題点も同時に抱えることになった。本展では、パープルームの展覧会が扱ってきた展示を組織するための文法を必要最低限の要素で成立させることも目論まれる。

 参加作家は、絵画や美術が生み出される地点への関心に基づく作品を制作してきた梅津庸一、19世紀末フランスの前衛芸術家集団・ナビ派の様式のアップデートを試みている安藤裕美、自身がキャラクターであると自認し、自動筆記を援用した「ポスト・キャラアイコン絵画」を提示するシエニーチュアン、「一人暮らし」テーマに、日々コラージュ作品を手がけるわきもとさき、ゲームデザイナーとしても活動し、「ルーチンワーク」をテーマとしたオブジェに着手するアラン、雑誌やインターネットから拾ってきた画像を使い、中身が空洞の張り子のような匿名性の高いオブジェをつくる播磨みどりの6名。