EXHIBITIONS

松澤宥―イメージとオブジェにあふれた世界

松澤宥 不詳 1950年代か

松澤宥 不詳 1950後半-60年代前半か

松澤宥 不詳 1930年代か

松澤宥 不詳 1930年代か

 コンセプチュアル・アーティスト、松澤宥(1922〜2006)のイメージとオブジェにあふれた実験場を追体験する展覧会が開催される。

 松澤は1922年長野県諏訪郡下諏訪町生まれ。早稲田大学理工学部建築科卒業。詩を出発点に絵画表現などを行うなか、64年6月1日にに「オブジェを消せ」の啓示を受けて「日本概念派」を開祖。造形や色彩から離れ、言語や意味といった非物質を媒体に、純粋観念の創作に向かう。80年代以後は「量子芸術」という異次元の美の概念を提唱。「プサイ(ギリシャ語のψ)の部屋」と名づけた下諏訪の自宅兼アトリエで、東洋的な宗教観や宇宙観などを組み入れながら思考を深め、そこから導き出した観念を芸術で表現することを追求した。

 2019年にパープルームギャラリーは、「オブジェを消す前に -松澤宥1950-60年代の知られざるドローイング」展と題して、松澤が「オブジェを消せ」という啓示を受ける以前のドローイング作品に着目。松澤につきまとう「日本概念派」というタグをいちど取り外し、松澤のドローイング作品の位置づけと可能性について再考を促した。

 今回はこの展覧会の流れを汲みつつ、松澤の活動を、「50年代から60年代のドローイング」「30年代の子ども時代に描かれた作品」「プサイの部屋の記録映像」の3つのセクションで、パープルームギャラリーとパープルーム予備校の空間も使って紹介する。

 本展では、いまだ研究がなされていない松澤の初期ドローイング作品をはじめ、子供時代の作品にまでさかのぼって分析。「松澤宥」という作家が生涯を通して、いかにイメージのなかで想像力を育んできたのかを浮き彫りにする。