EXHIBITIONS

シュルレアリスムと絵画

―ダリ、エルンストと日本の「シュール」

2019.12.15 - 2020.04.05

束芋 dolefullhouse 2007 ヴィデオ・インスタレーション © 2019 Tabaimo

束芋 ghost-running 03-2(部分) 2019 © 2019 Tabaimo

成田亨 ウルトラマン初稿 1966(昭和41)年 青森県立美術館蔵 © Narita/TPC 前期展示(12月15日〜2020年2月5日)

成田亨 ダダAイラスト 1983(昭和58)年 青森県立美術館蔵 © Narita/TPC 後期展示(2020年2月6日〜4月5日)

つげ義春『ねじ式』、『ガロ 臨時増刊号 つげ義春特集 1』no.47、東京:青林堂、1968年、4頁

 2019年は「シュルレアリスム」の誕生から100年という節目の年。ポーラ美術館では、この100年で変遷を遂げたシュルレアリスムの展開と、フランスから日本、そしてアメリカ、アジアにいたるまでのシュルレアリスムの広がりをたどる展覧会を開催する。

 フランスの詩人アンドレ・ブルトンが中心となって推し進めたシュルレアリスムは、20世紀の芸術にもっとも影響を及ぼした運動のひとつ。シュルレアリストたちは、理性を中心とした近代的な考え方を批判し、理性が及ばない無意識の世界の表現を追求した。いっぽう日本では、シュルレアリスムは現実離れした幻想的な世界を描くものとして受け入れられ、「シュール」という独自の感覚が醸成されていった。

 本展では、日本の「シュール」という独自の表現への展開を示すものとして、現代作家・束芋の作品約10点と成田亨(なりた・とおる)による『ウルトラマン』の原画6点(会期中展示替えあり)を展示する。

 束芋は、手描きのアニメーションを使った映像インスタレーションで知られるアーティスト。映像、版画、ドローイングと、シュルレアリスムの実験的技法を彷彿させる多様なアプローチを取り入れており、近年では現代舞踊や伝統芸能とコラボレーションし舞台作品を制作するなど活動は多岐にわたる。

 成田は、彫刻や絵画、デザインそして特撮美術監督と、ジャンルの垣根を越えた多彩な表現活動を行った作家。特撮映像シリーズ『ウルトラマン』に携わるにあたってシュルレアリスムの表現を研究し、怪獣にダダイズムにちなんだ「ダダ」やブルトンの名前を用いた。

 本展では、束芋の日本初公開の映像インスタレーションや、シュルレアリスムをアイディアの源泉とした成田の作品に加え、関連資料として、マンガで「シュール」な世界観を表現した代表的な作家・つげ義春の作品『ねじ式』も紹介する。

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、3月28日、29日は臨時休館。今後の状況によって内容を変更する場合あり。最新情報は公式ウェブサイトまで。