EXHIBITIONS

アイヌの美しき手仕事

2019.11.19 - 2020.01.13

衣服(赤モスリン) 日本民藝館蔵

煙草入れ 静岡市立芹沢銈介美術館蔵

 いまから約80年前の1941年に開催された「アイヌ工藝文化展」は、日本で初めてアイヌ文化を造形美の観点から紹介した展覧会。民藝運動の主唱者として知られる柳宗悦が、アイヌの手仕事の美しさに着目し、作品選定と陳列を染色家の芹沢銈介に任せて、日本民藝館(東京)での展覧会開催を実現させた。

 さらに柳は、雑誌『工藝』(106、107号)でアイヌ文化を特集。「美しいのみならず、立派でさえあり、神秘でさえあり、その創造の力の容易ならぬものを感じる」と寄稿し、アイヌの造形美を高く評価した。

 しかし不運にも、「アイヌ工藝文化展」で展示されたアイヌコレクション(杉山寿栄男蒐集)の多くが戦火で消失。アイヌの美に見せられた柳と芹沢は衣装や工芸品の蒐集に努め、それらは現在の日本民藝館、静岡市立芹沢銈介美術館などに受け継がれている。

 本展では、柳と芹沢の審美眼によって蒐集されたアイヌコレクションを中心に展示。アイヌの手仕事を通して、美の本質とは何かを見つめる。