EXHIBITIONS

熊谷亜莉沙「Single bed」

2019.05.16 - 06.22

熊谷亜莉沙 Single bed 2018 © Arisa Kumagai Courtesy of Gallery Koyanagi

 熊谷亜莉沙は1991年大阪生まれ、京都在住。2013年に京都造形芸術大学洋画コースを卒業し、15年に同大学大学院総合造形領域を修了。卒業・修了制作展では千住博奨励作品賞や優秀賞など数々の学内賞を受賞し、在学中にはシェル美術賞(2013)、上野の森美術大賞展(2014)に入選した。

 卒業後は17年にギャラリー小柳で開催したグループ展「Portrait」に参加。自身の祖父をモデルに描いた3点の油彩作品「Leisure Class」シリーズを出品し、不穏な存在感を湛えたトリプティクは国内外から大きな反響を得た。

 つねに自身のバックグラウンドを作品の出発点に定めてきた熊谷。しかし、その視点は非合理的で矛盾に満ちた「どうしようもない」人間のあり様、富裕と貧困、生と死、愛と憎しみが表裏一体であるという普遍的な事実に向けられ、これらを表現しようと試みている。

 ギャラリー小柳での初個展となる本展では、そのコンセプトをさらに掘り下げ、熊谷の意識は周囲の人々の心の動きに向けられる。死という出来事に起因する人々の心の動きは、時に献花や信仰の対象として立ちあらわれ、残された人々の心を揺さぶり変化させる。それらを冷静にとらえた作品群は、人間の本質の一端を提示するかのようである。

 展示作品は、約2年間をかけて取り組んだシングルベッドサイズの大作《Single bed》を含む新作7点。