EXHIBITIONS

油絵 新関創之介の創世日記

新関創之介 芙蓉 2014

新関創之介 タチアオイ 2017

 新関創之介は1974年神奈川県生まれ。美術大学を卒業し、母は美術史家、父は大学教員で彫刻家であり幼少期から多くの美術作品に触れて育つ。現創展会員。子ども絵画教室の講師も務める。

 これまで自宅アパート近くの植木や、野菜や果物、異様なポーズをした人物など、ごく身近な対象をモチーフにした絵画を数多く制作。作品は、レリーフのような浅い奥行きや、各パーツがぬり絵のように固有色で塗り込められた明るい画面などを特徴に持つ。例えば《芙蓉》(2014)という比較的大きな作品のように、実際のモチーフを忠実に写生することなく、花や葉の向きや重なりが装飾化とも抽象化とも異なった方法でボリュームを保ったまま単純化している。

 また、絵のなかに特異な空間を形成し、美術教育を受け始めたばかりの画学生のようなたどたどしさと、短くない画業の中で磨き上げられた熟練工のような洗練さとの間の揺らぎを感じさせる。比較するなら、新関の作品はアンリ・ルソーやアンドレ・ボーシャンといった19〜20世紀フランスの素朴派との共通点を見出すことができる。

 新関の5年ぶりの個展となる本展では、初期作品から最新作までを展示。20年にわたる画家を一望できる貴重な機会となる。