EXHIBITIONS

増山士郎 個展「Self Sufficient Life」

京都場
2019.02.15 - 03.10

毛を刈ったフタコブラクダのために、そのラクダの毛で鞍をつくる モンゴル 2015

毛を刈った羊のために、その羊の羊毛でセーターを編む スライゴー、アイルランド 2012

毛を刈った羊のために、その羊の羊毛でセーターを編む スライゴー、アイルランド 2012

毛を刈ったアルパカのために、そのアルパカの毛でマフラーを織る プーノ、ペルー 2014

毛を刈ったアルパカのために、そのアルパカの毛でマフラーを織る プーノ、ペルー 2014

毛を刈ったフタコブラクダのために、そのラクダの毛で鞍をつくる モンゴル 2015

毛を刈ったフタコブラクダのために、そのラクダの毛で鞍をつくる モンゴル 2015

 2010年より、北アイルランドで唯一の在住日本人アーティストとして活動する増山士郎。東日本大震災以降、世界各地で急速に進むグローバリゼーション、現代の日本や西欧の文化の価値観と生活様式に対する疑問を、作品を通して投げかけてきた。

 本展「Self Sufficient Life」は、増山が2012〜15年にかけ、アイルランド、ペルー、モンゴルの3ヶ国で、土着の人々と動物を巻き込んで展開したプロジェクトの集大成として開催。

 資本主義の発達したアイルランド社会の中で失われつつある伝統羊毛産業を新たな視点で再現・実現した《毛を刈った羊のために、その羊の羊毛でセーターを編む》(2012)と、その続編となる、ペルーの標高4900メートルの高山地帯の放牧をして暮らす家族と協働した《毛を刈ったアルパカのために、そのアルパカの毛でマフラーを織る》(2014)、そしていまなお遊牧民が国民の過半数を占めるモンゴルで、現地の遊牧民とともに取り組んだ、シリーズ完結編の《毛を刈ったフタコブラクダのために、そのラクダの毛で鞍をつくる》(2015)を見せる。

 これら3つのプロジェクトは、札幌で開催中の「第7回札幌500m美術館賞 入選展」(札幌大通地下ギャラリー500m美術館、〜3月27日)でグランプリを受賞。京都の伝統や文化を考察してきた京都場において、ユーモアを交えた婉曲的な現代文明批判としての増山のプロジェクトが、今日の日本社会のあり方を見直す契機となるだろう。