EXHIBITIONS

日本・デンマーク外交関係樹立150周年記念

スケーエン:デンマークの芸術家村

2017.02.10 - 05.28

ペーダー・セヴェリン・クロヤー ばら 1893 スケーエン美術館蔵 © The Art Museums of Skagen

アンナ・アンカー 戸外の説教 1903 スケーエン美術館蔵 © The Art Museums of Skagen

ミカエル・アンカー 海辺の散歩 1896 スケーエン美術館蔵 © The Art Museums of Skagen

 19世紀末から20世紀はじめ、北欧の国々から画家や詩人、作曲家が集まる芸術家村となったデンマーク最北の街、スケーエン。本展では自然主義の考え方を背景に日常や労働、自然風景をみずみずしく描いた「スケーエン派」の絵画59点を紹介する。

 潮風が舞う荒野、白い砂浜、どこまでも広がる空と海。バルト海と北海にはさまれたユトランド半島の最北端に位置するスケーエンは、19世紀のデンマークの人々にとって、いわば自国の中の異郷だった。しかし1870年代から、首都コペンハーゲンで活動していた若い画家たち数人がここを訪れたことを発端に、鉄道の駅も港さえもなかった小さな漁村は国際的な芸術家村として知られるようになった。

 スケーエンを制作の拠点とした画家たちは、フランスに発祥してヨーロッパ絵画の新しい潮流となっていた自然主義の考え方に立ち、漁師たちの労働、海辺の風景、素朴な村人たちの生活、芸術家とその家族の日常を題材とした作品を描いた。現実そのものの中から自然と人間の本質にかかわる主題を見出した彼らの作品は、当時のデンマークの美術界に「近代の革新」と呼ばれる転換をもたらし、今日もなおみずみずしい魅力を放つ。