EXHIBITIONS

深堀隆介展 平成しんちう屋

2018.07.07 - 09.02

深堀隆介 制作風景

深堀隆介 金魚酒 夕舟 2016 個人蔵

 金魚の持つ神秘性に魅了され、透明樹脂にアクリル絵具で金魚を描く斬新な技法で注目を集める深堀隆介が公立美術館では初となる個展を開催する。

 深堀は1973年愛知県出身。95年愛知県立芸術大学を卒業し、名古屋市のディスプレイ会社に99年まで勤務。その後は本格的に創作活動を開始し、絵画と立体を並行して様々な作品を制作してきた。

 金魚を描くきっかけとなったのは、7年間放置していた水槽で生き続ける金魚の存在に気づき、その美しさに制作意欲をかきたれられたこと。ちょうど、自信を失いかけていた頃の自分に訪れたこの出来事を深堀は「金魚救い」と呼び、金魚に自身を重ねながら表現を追究してきた。

 深堀の作品は、器の中に樹脂を流し込み、その表面にアクリル絵具で金魚を少しずつ部分的に描いていくことから始まる。その上にさらに樹脂を重ねる作業を繰り返すことにより、絵が重なり合い、まるで金魚が生きているかのような、圧倒的な立体感を持つ。また、近年ではライブペインティングやインスタレーションにも力を入れ、その表現の幅を広げている。

 本展では、初期の立体作品から初公開となる新作インスタレーション《平成しんちう屋》を含む約200点により、深堀隆介の世界を紹介。絵画でありながら立体的な躍動感にあふれる、不思議な美しさを湛えた一連の金魚作品を楽しみたい。