EXHIBITIONS

藤森照信展

自然を生かした建築と路上観察

藤森照信 銅屋根 ラ コリーナ近江八幡(たねや本社屋) © Nacása & Partners Inc.

 1946年生まれの藤森照信は、近代建築史・都市史研究の第一人者として多くの業績を残した後、45歳で建築家としてデビュー。これまでに約40の建築作品を手がけて来た。藤森の建築の特徴は、屋根にタンポポやニラが植えられた住宅、皮付きの木材を柱に用いた鳥の巣箱を思わせる茶室など、斬新さと懐かしさを併せ持つ独創的な建築だ。そしてこれらの作品の背景には、「自然素材をどう現代建築に生かすか」「植物をどう建築に取り込むか」といった、建築と自然との関係を取り戻すべく藤森が取り組んできたテーマがある。

 本展は、1991年に藤森が初めて手がけた《神長官守矢史料館》から最新作までを写真、模型、図面などを通して総合的に紹介する。近作より《銅屋根》と《多治見市モザイクタイルミュージアム》の一部は会場にて再現され、ギャラリー空間内には本展のために制作した新作の茶室が登場。また、外壁や屋根に使用された素材見本の展示や、藤森建築の多くに納められる自作の家具が日本各地から集まり、来場者が実際に椅子に座る場も設けられるなど、藤森が試みてきた自然と現代建築の融合を実感的にとらえる機会となる。