アール・ブリュット 2023 巡回展 「ディア ストーリーズ ものがたり、かたりあう」

　たましんRISURUホールで「アール・ブリュット 2023 巡回展 『ディア ストーリーズ ものがたり、かたりあう』」が開催されている。

　自らの存在を確かめるような「語り」から、他者と共有できる「物語」まで、人は日々さまざまな「ものがたり」とともにある。本展では、独創性あふれる表現方法で注目される7名のアール・ブリュットの作家を紹介するとともに、作家それぞれの創作の過程や作品世界における「ものがたり」の味わいに注目する。

　思いを寄せる誰かの姿を架空のストーリーを込めてかたどること、飲み終わったビールの空き缶で唯一無二のからくり人形をつくってみること、暮らしの断片に向けられるまなざしとそこに生まれる詩趣、空想の街のジオラマづくりと「増殖解体」の熱量の痕跡、宇宙や歴史を題材として俯瞰した時空間をとらえようとすること、大好きな色鮮やかな鳥を描き夢想する世界を彩ること、かつての高度経済成長期の建設労働の記憶と方眼紙に残された数々の描画。ここには作家の独自の体験を通じた「語り」の姿と「物語」として広がる地平が織り交ざりながら存在し、人々の感受や想像をより豊かに刺激する。

　本展が「ものがたり」への思索を通じて多様な人の創造性との出会いをつくり、語り合う機会となるだろう。

　出展作家は、鎌江一美、富永武、畑中亜未、hideki、松本寛庸、ミルカ、山﨑健一。