EXHIBITIONS

テオ・ヤンセン展

大阪南港ATC Gallery
2022.07.09 - 09.25

テオ・ヤンセン アニマリス・プラウデンス・ヴェーラ 2013 ©︎ Theo Jansen

テオ・ヤンセン アニマリス・ムルス 2017 ©︎ Theo Jansen

テオ・ヤンセン アニマリス・オムニア・セグンダ 2018 ©︎ Theo Jansen

「テオ・ヤンセン展」が大阪南港ATC Galleryで開催中。昆虫や動物のようなかたちをした、風で動く巨大な人工生命体「ストランドビースト」の制作で世界的に知られるオランダのアーティスト、テオ・ヤンセンの大規模個展。

 ヤンセンは1948年生まれ、オランダ・スフェベニンゲン出身。デルフト工科大学で物理学を専攻し、75年にアーティストに転向。86年から新聞のコラムを執筆し、そのなかの記事『砂浜の放浪者』をきっかけに、故国の海面上昇問題を解決することを目指して砂浜の生命体「ストランドビースト」を生み出す。90年から、風力で動作する「ストランドビースト」の制作を開始。アートと科学が融合した様々な作品を制作し、注目されている。

「ストランドビースト」は、オランダ語で、砂を意味する「strand」と生物を意味する「beest」をつなぎ合わせた、ヤンセンによる造語だ。ボディ全体は黄色いプラスチックチューブで造形され、物理工学を基盤としたその動きは生き物を思わせるほどに滑らかで有機的であり、歩行、方向転換、危険察知などの機能を備え、あらゆる環境に適応していくためのシステムを獲得していく。そして作者亡き後も自立して砂浜で生き延びることが目指されている。

「テオ・ヤンセン展」の大阪では初めての開催となる今回は、日本初公開を含む10作品以上が集結。大小様々な作品を紹介するとともに、1990年代の初期作品や構想スケッチなど、芸術と科学が融合したビーストたちの構造や動きの仕組みを明らかにする。

 会場では、全長10メートルを超える巨大なストランドビーストが力強く歩くリ・アニメーション(再生)も行われ、全作品の動画・写真撮影が可能。また巨大なストランドビーストを実際に動かして体感することもできる。

 生と死を繰り返し、遺伝子と遺伝情報を受け継ぎながら進化し続けてきた生命体、ストランドビースト。芸術と科学という既存のカテゴリーを横断し、新たな可能性を私たちに提示してくれる。