EXHIBITIONS
畑山太志 個展「空間体」
EUKARYOTEは、画家・畑山太志による個展「空間体」を開催する。
畑山は1992年神奈川県生まれ。2015年多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業。17年に同大学大学院美術研究科博士前期(修士)課程絵画専攻油画研究領域修了。近年の主な個展に「animarium」(un petit GARAGE、東京、2021)、「素知覚」(EUKARYOTE、東京、2020)などがある。
2年前の個展「素知覚」で畑山は、AIや仮想世界、非生命においてもある種の自然を生成するメカニズムを表現するなど、自身の身体的感覚が起点となって知覚する世界を筆致の集積で表した。画面上で混じり合う幾多の絵具の色やタッチ、ストロークの一つひとつが生命体・非生命体として場を覆いながら構成し始め、複数の環世界や複合的な生命体となって描き出される展開にいたった。
本展へ向けた制作では、近年畑山が関心を抱く、生命と非生命の境界や個体性の境界についての探求から、これまで自身の身体的な感覚を突き詰めることによってとらえていた視点を、自分をも取り込む外側の環境的視点からとらえ直す。
例えば、一人の人間の体内にも幾兆もの微生物が存在するように、ある生物の個体とは不可分であり複数の生物の総体とする、リン・マーギュリスの「ホロビオント」の考え方にも影響を受けたという新たな展開では、これまでの平面上の圧倒的な筆跡による有機的な表現から、キャンバス内に空間が立ち上がり、マクロとミクロを横断する可能性の領域が広がる。そこでは、生命・非生命問わず、事物、デジタルなど、すべてを巻き込むかたちの生命体のような、詩的な「空間体」をつくり上げている。
いっぽう継続して取り組む白を基調としたシリーズは、虚像と実像の境界を水面の表現において問いかけるほか、前回の「草木言語」「天気図」を含むいずれのシリーズは、より高次の視点となって、これまでの制作を組み込む試みとなる。私たちの存在する世界のスケールやカテゴリーの線引きを絵画の手法で引き直す、畑山の新たな探求に注目してほしい。
畑山は1992年神奈川県生まれ。2015年多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業。17年に同大学大学院美術研究科博士前期(修士)課程絵画専攻油画研究領域修了。近年の主な個展に「animarium」(un petit GARAGE、東京、2021)、「素知覚」(EUKARYOTE、東京、2020)などがある。
2年前の個展「素知覚」で畑山は、AIや仮想世界、非生命においてもある種の自然を生成するメカニズムを表現するなど、自身の身体的感覚が起点となって知覚する世界を筆致の集積で表した。画面上で混じり合う幾多の絵具の色やタッチ、ストロークの一つひとつが生命体・非生命体として場を覆いながら構成し始め、複数の環世界や複合的な生命体となって描き出される展開にいたった。
本展へ向けた制作では、近年畑山が関心を抱く、生命と非生命の境界や個体性の境界についての探求から、これまで自身の身体的な感覚を突き詰めることによってとらえていた視点を、自分をも取り込む外側の環境的視点からとらえ直す。
例えば、一人の人間の体内にも幾兆もの微生物が存在するように、ある生物の個体とは不可分であり複数の生物の総体とする、リン・マーギュリスの「ホロビオント」の考え方にも影響を受けたという新たな展開では、これまでの平面上の圧倒的な筆跡による有機的な表現から、キャンバス内に空間が立ち上がり、マクロとミクロを横断する可能性の領域が広がる。そこでは、生命・非生命問わず、事物、デジタルなど、すべてを巻き込むかたちの生命体のような、詩的な「空間体」をつくり上げている。
いっぽう継続して取り組む白を基調としたシリーズは、虚像と実像の境界を水面の表現において問いかけるほか、前回の「草木言語」「天気図」を含むいずれのシリーズは、より高次の視点となって、これまでの制作を組み込む試みとなる。私たちの存在する世界のスケールやカテゴリーの線引きを絵画の手法で引き直す、畑山の新たな探求に注目してほしい。