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中村一美

Kazumi Nakamura

 中村一美は1956年千葉県生まれの画家。東京藝術大学美術学部芸術学科卒業後、同大学大学院美術研究科油画専攻修了。絵画の意味、意義を考えるうえで、「西欧のモダニズム絵画の到達点」と見なされていたアメリカ抽象表現主義絵画の研究から出発し、日本の古代・中世絵画、中国の山水画、朝鮮の民画といった東アジアの伝統的な空間表現や形象の記号的・象徴的作用に着目。「開かれたC型」「Y型」「斜行グリッド」など、独自の造形言語を用いながら、豊かな色彩とマチエールを特徴とする抽象画を仕上げる。また、絵画の意味は、別の絵画との差異にのみ存在するという認識に基づき、「示差性の絵画」という概念を80年代に提唱。同じモチーフの見られる複数の作品が差異を示して展開する連作絵画を発表した。2014年、国立新美術館(東京)で、学生時代の習作から最新作までが集まる大規模な個展が開催された。これまで参加した主な展覧会に「日本の現代美術1985-1995」(東京都現代美術館、1995)、「形象のはざまに」(東京国立近代美術館ほか、1992〜93)、「JUXTAPOZ×SUPER FLAT」(Century Link Field Event Center、シアトル、2016)。