EXHIBITIONS

絵と、 vol.5

中村一美

2019.01.26 - 03.23

中村一美 破庵43(無垢路岐山) 2018 作家蔵

 蔵屋美香(東京国立近代美術館企画課長)がキュレーションするαMプロジェクト2018年企画「絵と、 」では、1年を通して五月女哲平、藤城嘘、村瀬恭子、千葉正也を紹介してきた。その最終回では、中村一美による個展を開催する。

 本展では、94~95年に制作された「連差ー破房」、95~96年の「破庵」、そして新作となる2018年の「破庵」シリーズで構成。93年より開始された「連差ー破房」は崩壊する建築物を抽象絵画化したもので、阪神淡路大震災を経て「破庵」ではより抽象性が高められた。最新作では、東日本大震災以降の社会情勢や災害といった過酷な現実に対して、絵画が持ちうる可能性と不可能性を再検証する。

 「絵画が現実に関わるよりよい方法とは」という蔵屋の問いから始まった本企画。「絵と」現実を絵画ならではの方法で切り結ぼうとする作家たちの試みが、同じ疑問を抱く人々にその答えのヒントを与えてくれるだろう。