1985年の開館以来、建築の専門ギャラリーとして国内外の建築家の展覧会を開催してきたTOTOギャラリー・間。独自性に富んだ建築作品を生み出してきた、若手建築家ユニットの増田信吾+大坪克亘の展覧会が、「増田信吾+大坪克亘展 それは本当に必要か。」だ。
82年生まれの増田信吾と、83年生まれの大坪克亘が共同主宰する増田信吾+大坪克亘。1枚の住宅の塀から設計活動を始めたふたりは、その後、初期の代表作《躯体の窓》(2014)や、第32回吉岡賞を受賞した《リビングプール》(2016)により高い評価を受けた。
増田信吾+大坪克亘は、敷地のなかで「場」に大きく影響する境界や窓、躯体、基礎といった部位に着目し、大胆な解決方法を提示する。その過程では、営まれる生活や周辺環境に対しても細やかな「観察」と「診断」を実施。場に大きく寄与する対象を見極め、設計すべき「計画」へと導く。恣意的なものを排除し、客観的に対象と向き合おうとする姿勢によるその設計は、既成概念をくつがえし、日頃見慣れた風景が違って見えるような新鮮な感動を生む。
同展では、増田信吾+大坪克亘の初期の作品から、《始めの屋根》(2017)、《街の家》《つなぎの小屋》(ともに2018)、《庭先のランドマーク》(2019)などの近作までの設計過程を、敷地模型やモックアップにより紹介。本当に設計すべきことをどのように見出し、環境の中で定着させていくのか、ふたりの探求の軌跡を明らかにしている。