　ロンドンのナショナル・ポートレイト・ギャラリーのリニューアルオープン記念として開催された、「ザ・ビートルズ」のメンバーポール・マッカートニーによる写真展「ポール・マッカートニー写真展 1963-64～ Eyes of the Storm～」。その日本巡回展が、東京・六本木の東京シティビューでスタートした。キュレーションはロージー・ブロードリー（同ギャラリーチーフキュレーター）。会期は9月24日まで。

　1962年にジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの4人でデビューし、世界のトップミュージシャンへと駆け上がったビートルズ。本展は、デビュー直後の63年12月頃の活動から、「エド・サリバン・ショー」でアメリカに凱旋した翌年2月にかけての約3ヶ月間を、マッカートニーによって撮影されたポートレート約250点からたどるものとなる。

展示風景より、「On tour in London 1963」。ビートルズにとってこの3ヶ月は、本人たちのみならず、音楽史においてもポップスターや有名であることの定義を塗り替えるといった重要な期間であったという

展示風景より、「On tour in London 1963」。これらの写真はマッカートニーが所持していたPENTAX 35mmで撮影されたようだ

　キュレーターのブロードリーは、この展示の独自性について、「これらの写真は一部を除き、約60年以上現像されず、ネガやコンタクトシートのまま一般公開されたことはなかった」「展示作品はマッカートニーと同ギャラリーとの話し合いのもと決定された」点にあると語った。

　さらに、作品選定の基準では、価値が高いこと以外にも、4人の日記的な側面も重要視されたという。人前で演奏している姿のみならず、プライベートの楽しそうな表情から疲労困憊の様子まで、なかなか見ることができないビートルズの素顔が明らかとなっていることにも新鮮な驚きがあった。

展示風景より、「Paris」。壁面のカラーや額縁に至るまで、マッカートニーの意見が反映されている

　また、選定作業を通じて、マッカートニーから当時の思い出なども数多く聞くことができたという。それらをできるだけそのまま来場者に届けられるよう、コンタクトシートの裏に書かれていた当時の手書きメモを壁面に掲示したほか、オーディオガイドについても同氏の肉声を採用している。

展示風景より、「New York」。マッカートニーのファインダーは、自身に向けられたファンや記者の眼差しをもとらえている。世界を熱狂させたビートルズがどのような存在であったのか、こういった写真からも垣間見ることができるだろう

　ほかにも、会場にはビートルズのブロンズ像も日本限定で展示されている。ビートルズの4人が駆け上がった世界への道のりの舞台裏を、ぜひ目の当たりにしてほしい。

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「ポール・マッカートニー写真展 1963-64～Eyes of the Storm～」（東京シティビュー）開幕レポート