　演出振付家・舞踊家の金森穣が芸術監督を務めるNoism。その第6期（2019年9月〜2022年8月）活動継続が決定した。

　2004年、新潟市の文化施設「りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館」によって設立され、日本唯一の劇場専属舞踊団としても知られるNoism。これまで国内外40都市以上で上演を行ってきたが、市長交代、市の財政悪化などの事情にともない、今夏、市によって存廃を検討されていることがわかり、各地から存続を願う声が上がっていた。

　そして今年9月、15年間にわたる活動を市が検証し、第6期（2019年9月〜2022年8月）の更新が決定。りゅーとぴあを拠点にさらなる活動を展開することになった。

Noism設立15周年記念作品『FratresI』演出振付＝金森穣（c）Kishin Shinoyama

　今回の継続にともない、これまでの総称「Noism - RYUTOPIA Residential Dance Company」は「Noism Company Niigata」へと変更。市民向けワークショップの充実など、より地域に目を向けた活動を展開していく予定だ。新潟市はそのほかにも、国内他館との信頼関係を築き、ネットワークを拡大すること、Noism以外の公演を市民に提供すること、スタッフの労務管理に配慮することなども、今期改善すべき点として掲げている。

　今期より体制も刷新。従来の「Noism1」（プロフェッショナルカンパニー）、「Noism2」（研修生カンパニー）に加え、新たに少数気鋭のプロフェッショナル選抜カンパニー「Noism0」を加えた3部体制となる。これは、各地へのツアーにより柔軟に対応していくことを目的としており、Noism0は金森穣、井関佐和子（副芸術監督）、山田勇気（Nosm2 リハーサル監督）の3名で編成される。

　そしてこの度、新体制となったNoism0、Nosim1による公演「森優貴／金森穣 Double Bill」が、りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館（12月13日〜15日）、彩の国さいたま芸術劇場（2020年1月17日〜19日）にて開催されることが決定した。

「森優貴／金森穣 Double Bill」は、ドイツ・レーゲンスブルク歌劇場ダンスカンパニーで昨シーズンまで芸術監督として活躍した森優貴をゲスト振付家に迎えた新作と、金森穣の新作との2本立て（ダブルビル）公演。ヨーロッパの劇場で日本人初の芸術監督となった森が、帰国後第1作目となる新作『Farben』をNoismの舞踊家たちとともに創作。Noism1としては、8年ぶりにカンパニー外部の振付家をゲストに迎えるかたちとなる。

レーゲンスブルク歌劇場ダンスカンパニー『死と乙女』　演出振付＝森優貴　©Jochen Klenk

　いっぽう金森は、Noism1の『クロノスカイロス1』、Noism0の『夏の名残のバラ』、『FratresII』の3つの作品からなる『シネマトダンス-3つの小品』を発表する。

　24日、都内で開かれた記者会見にて「世界に向けた発信と、新潟市の方々に向けた活動の両輪は大変なことだと思う。けれど、これが“日本唯一の劇場専属舞踊団”の通る道なのであれば、覚悟が決まります。後世の人たちのモデルケースになる活動をしていきたい」と語った金森。

　Noism新章となる本公演を目撃してほしい。

左から金森穣（りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館舞踊部門芸術監督／Noism芸術監督）、仁多見浩（りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館支配人）

Noism、活動存続決定。新体制での新作は「森優貴／金森穣 Double Bill」