韓国の抽象画は、欧米の同時代美術を受容するなかで、東洋的な精神性をたたえた韓国固有の表現として確立した。
とりわけ1970年代に生まれた「単色画(ダンセッファ)」は、極限まで要素が削ぎ落とされた、ミニマルな美しさと繊細さを特徴としている。
李禹煥(リ・ウファン)や朴栖甫(パク・ソボ)など「単色画」の発展を担った作家たちは、70年代から90年代にかけて、日韓のアートシーンで活発に交流。その後2015年に、ヴェネチアで「単色画」の大規模展が開かれるなど、近年再評価が進んでいる分野の一つと言える。
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韓国の抽象作品は、東京オペラシティアートギャラリーが所蔵する寺田コレクションの中核をなしており、国内でも有数のコレクションとなっている。
今回は、韓国の「単色画」とそれを受け継ぐ世代を、同館コレクションを中心に全国の美術館や所蔵家の協力を得て展示。独自性を探求する過程で生まれた韓国の抽象画は、「表現とは何か」というシンプルで奥深い問いを投げかけている。
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