　アメリカ人アーティスト、ケニー・シャーフの個展「I’m Baaack」が、NANZUKA UNDERGROUND（6月10日〜7月9日）と草月会館（6月10日〜30日）の2会場で開催される。

　ケニー・シャーフは1958年カルフォルニア州生まれ。80年、ニューヨークのスクール・オブ・ビジュアル・アーツを卒業した後、アンディ・ウォーホルをメンターとして、グラフィティやコラージュを主要な表現スタイルとする「イースト・ヴィレッジ・アート・ムーブメント」の一員として、バスキアやキース・ヘリングといった同世代のアーティストとともに一躍大きな脚光を浴びた。

　85年には、ホイットニー・ビエンナーレに参加し、自身のユニークな創作を説明するために「ポップ・シュルレアリスト」という言葉を生み出した。現在は、独自のキャラクターを駆使した作品で21世紀型ポップ・アートのトレンドにつながる文脈を切り開いた先駆者として、大きな人気を博している。

ケニー・シャーフ　AOAKA　2023
© Kenny Scharf. Charles White of JWP Photography. Courtesy of NANZUKA

　カラフルな色彩や漫画・アニメの引用から着想を得た独自のキャラクターによって特徴づけられるシャーフの作品。日本のプライマリーギャラリーではシャーフにとって約30年ぶりの新作個展となる本展では、変幻自在にかたちを変え、表情豊かなキャラクターたちが登場する新作や、日本語の新聞を集め、様々な社会問題に関するキーワードを画面のなかに忍ばせた作品が発表される。

ケニー・シャーフ　NAMIGO　2022
© Kenny Scharf. Charles White of JWP Photography. Courtesy of NANZUKA

ケニー・シャーフ　NEWZ　2023
© Kenny Scharf. Charles White of JWP Photography. Courtesy of NANZUKA

　シャーフは1985年に使い古した玩具や家電といったファウンドオブジェクトとブラックライトを用いたインスタレーション《Cosmic Cavern》を発表。空間を丸ごとビビットなネオン色に変換し、没入型の視聴体験を提供するこの作品は、シャーフの芸術を象徴するシリーズとして現在も進化を遂げ続けており、本展ではNANZUKA UNDERGROUNDにて再現される。

ケニー・シャーフ　VIERA SONIC　2022
© Kenny Scharf. Charles White of JWP Photography. Courtesy of NANZUKA

　また、草月会館の会場では、イサムノグチ石庭における新作の立体彫刻作品のインスタレーションに加え、85年に同館が主催した「アートインアクション」展の際に、シャーフ自身がペイントと改造を施したキャデラック《夢の車》も38年ぶりに限定公開される予定だ。

ケニー・シャーフ　REDDY GUY　1986 / 2021
© Kenny Scharf. Courtesy of NANZUKA

ケニー・シャーフ　BLUMAMA　1986 / 2021
© Kenny Scharf. Courtesy of NANZUKA

ケニー・シャーフの個展がNANZUKAと草月会館で開催へ。1985年の作品も38年ぶりに限定公開