INSIGHT - 2019.10.31公共彫刻から芸術祭へ:到達/切断地点としての「ファーレ立川」白井美穂によるペデストリアンデッキ看板。白井は、女性性に負荷をかけるようなイメージを用いた「看板」を2ヶ所に3枚制作したフェリックス・ゴンザレス=トレスの作品。公式サイトでは「非常階段看板」とだけ記載され作品名なしとされているが、作品名が《ただそれだけの景色》とされている資料もあるドナルド・ジャッドによる壁面彫刻。ジャッドの遺作である山口啓介《Tachikawa Box》は案内板の機能を有する。本作のようにライトが仕込まれ、夜間により印象的に見えるものも多いマリーナ・アブラモヴィッチ《黒い竜-家族用》。人の体の頭、心臓、性器に当たる部分に紅石英のまくらが置かれている。作家自身は「見るのではなく、そこに体を押しつける」ように本作を設計し、この壁が「安息の場」として機能するようにと解説しているジョセフ・コスース《呪文、ノエマのために(テキスト:石牟礼道子「椿の海の記」、ジェームズ・ジョイス「若い芸術家の肖像」)》。石牟礼とジョイスのテクストが42メートルにわたって壁に直接刻まれている宮島達男《Luna》は換気塔の役割を担っている。現在、電気がついておらず、本来の姿で鑑賞することができなくなっている河口龍夫《関係-未来・2132年、関係-未来・ 2155年、関係-未来・2157年》。本来は、それぞれ2132年、2155年、2157年の木の幹の太さを示す大きさの異なる3つの鉄の輪が3本の木にかけられていたが、現在ではもっとも小さい輪(2132年)のみとなった。恒久設置への批判的な視座を有し、都市の機能という枠組みから逸脱していることも興味深い片瀬和夫《星座又は星の宿》の前で行われていたHostile architecture(排除アート化)のための工事3 / 9 記事にもどる 編集部