EXHIBITIONS

YAKIMONO

スターリング・ルビー CLUB(7689) 2021 Photo by Robert Wedemeyer © Sterling Ruby Courtesy of Taka Ishii Gallery

 タカ・イシイギャラリーは、セラミック作品によるグループ展「YAKIMONO」を開催している。参加作家は、日下翅央、リズ・ラーナー、マシュー・ルッツ・キノイ&ナツコ・ウチノ、ウィリアム・J・オブライエン、スターリング・ルビー、ルシア・ビダレス。

 日下翅央(くさか・しお)は1972年岩手県生まれ。現在はロサンゼルスに在住。陶器作品の制作において革新的なアプローチを用いるいっぽう、弥生時代の土器やアグネス・マーティンの絵画作品から影響を受けた抽象的な模様を表面に生み出す。また他方では、家族との日常生活に登場する果物やボール、恐竜などをモチーフとして直感的に取り入れている。

 フランスを拠点にするマシュー・ルッツ・キノイとナツコ・ウチノは、絵画やドローイング、パフォーマンスといった多分野にまたがる独自の芸術活動を行っている。両者の共同によるセラミック作品の制作は「Keramikos」の名のもとに生み出されている。

 リズ・ラーナーは1960年サクラメントに生まれ、現在ロサンゼルスを拠点に活動。ラーナーは様々な焼成と釉薬がけの実験的技法によって独自の質感や形態を生み出し、セラミック作品の物質性を追求する。使用する素材が由来する大地の地質学的要素にも言及し、また鮮やかな色彩の作品を壁面に垂直に展示する手法は、絵画や彫刻、あるいはその両方としての作品をどう認識するのか鑑賞者に問いかけている。

 ウィリアム・J・オブライエンは1975年オハイオ州クリーブランド生まれ。現在シカゴを拠点に活動。オブラエインは紙、粘土、テキスタイル、セラミック、鋼、さらにファウンド・オブジェクトや日用品など多様な素材の可能性を探りながら作品制作を展開し、とりわけセラミックの立体作品がよく知られている。鮮やかな釉薬が施された遊び心のある作品は、民族史、伝統工芸、詩、ポップやサイケデリックな文化、さらにはゲイ・ミニマリズムといった広範にわたる参照領域を含んでいる。

 スターリング・ルビーは1972年生まれ。光沢のあるポリウレタンやブロンズ、鋼鉄を用いた立体作品から、ドローイングやコラージュ、ふんだんに釉掛けした陶器、油彩画、写真、映像、さらにはキルト、タペストリー、衣服、ソフトスカルプチャーといった布作品まで、多様な素材や技法を駆使し、垂直に自立したオブジェクトと言及する「CLUB」シリーズなどを手がけている。

 ルシア・ビダレスは1986年メキシコシティ生まれ。現在はモンテレイに在住し、モンテレイ大学で教鞭を執りつつ制作活動を展開している。ビダレスのセラミック作品は古代メキシコの素焼きの慣例や装飾品の様式を参照し、20世紀の巨匠たちとの対話を促す若い声の代表となっている。