EXHIBITIONS
鍵 豪「蒸発と結晶のエチュード」
東京から奈良に拠点を移したGallery OUT of PLACEは、展覧会第1弾として鍵豪(かぎ・たけし)の新作個展「蒸発と結晶のエチュード」を開催する。
鍵は1977年大阪府生まれ。2000年佛教大学文学部史学科卒業地域文化専攻。2000〜07年にヨーロッパ、南米など世界各地を旅する。現在、奈良県在住し活動している。
本展では、鍵豪が6年間の沈黙を破り、中型フィルムカメラで撮影した2つのシリーズから新作を発表する。
鍵は、2015年奈良市学園前で開催されたアートイベントへの参加を最後に忽然と関係者の前から姿を消し、長く音信が途絶えたままになっていた。しかしメンタルヘルスのバランスを崩し他人との接触が思うようにできなくなっていたなかにおいても、作家は毎日のように近郊の森や林に出かけ、その日フィルム1本を使い切るまでシャッターを押し続けていた。
その後、その大量のフィルムを現像し、写された風景と意図せず写ってしまった「何か」を丹念に見直す作業を通して、鍵は作家活動を再開するモチベーションを見出し、心身の健康を取り戻していったと言う。この野外を彷徨いながら撮影されたものから抽出し結晶化したものを、「蒸発と結晶のエチュード -原野- 」と題して今回発表することになった。
もうひとつのシリーズは「蒸発と結晶のエチュード -器- 」と名づけられた。「原野」のシリーズが野外で撮影されたのとは対照的に、本シリーズは完全に屋内で制作されたもの。ある知人からの依頼で始めたガラス器のポートレイトは、撮影を重ねるごとにまったく別の意図やコンセプトが作家の内面に沸き起こったと言う。目の前に存在する透明の器たちは、美しくも軽く卑小で壊れやすく、いずれは消失するはかない存在であり同時に、生きとし生けるものたちがいまそこで息づく「地球」という惑星そのものと等価ではないか。この気づきから「蒸発と結晶のエチュード -器- 」が生まれた。少量の水や液体が入っているガラスやプラスチックの器を写す作品は、肉体と精神のフォルムを連想させ、地球環境のはかなさをも示唆しているように感じさせる。
鍵は1977年大阪府生まれ。2000年佛教大学文学部史学科卒業地域文化専攻。2000〜07年にヨーロッパ、南米など世界各地を旅する。現在、奈良県在住し活動している。
本展では、鍵豪が6年間の沈黙を破り、中型フィルムカメラで撮影した2つのシリーズから新作を発表する。
鍵は、2015年奈良市学園前で開催されたアートイベントへの参加を最後に忽然と関係者の前から姿を消し、長く音信が途絶えたままになっていた。しかしメンタルヘルスのバランスを崩し他人との接触が思うようにできなくなっていたなかにおいても、作家は毎日のように近郊の森や林に出かけ、その日フィルム1本を使い切るまでシャッターを押し続けていた。
その後、その大量のフィルムを現像し、写された風景と意図せず写ってしまった「何か」を丹念に見直す作業を通して、鍵は作家活動を再開するモチベーションを見出し、心身の健康を取り戻していったと言う。この野外を彷徨いながら撮影されたものから抽出し結晶化したものを、「蒸発と結晶のエチュード -原野- 」と題して今回発表することになった。
もうひとつのシリーズは「蒸発と結晶のエチュード -器- 」と名づけられた。「原野」のシリーズが野外で撮影されたのとは対照的に、本シリーズは完全に屋内で制作されたもの。ある知人からの依頼で始めたガラス器のポートレイトは、撮影を重ねるごとにまったく別の意図やコンセプトが作家の内面に沸き起こったと言う。目の前に存在する透明の器たちは、美しくも軽く卑小で壊れやすく、いずれは消失するはかない存在であり同時に、生きとし生けるものたちがいまそこで息づく「地球」という惑星そのものと等価ではないか。この気づきから「蒸発と結晶のエチュード -器- 」が生まれた。少量の水や液体が入っているガラスやプラスチックの器を写す作品は、肉体と精神のフォルムを連想させ、地球環境のはかなさをも示唆しているように感じさせる。