EXHIBITIONS

渡邊慎二郎 個展「浸透する赤紫色が射し、陰る緑色」

2021.08.27 - 09.20
「植物に成りたい」という欲望から制作を行うアーティスト・渡邊慎二郎の個展「浸透する赤紫色が射し、陰る緑色」が、BLOCK HOUSEで開催される。

 渡邊は1995年愛知県生まれ。2021年東京藝術大学大学院博士課程在籍。空間や場所に浸ることで立ち現れる景色や、事象との対話を通して作品を制作している。「私たち人間の身体は動物性と植物性の両側面で成り立っている」という考え方から、作品を通して人間のなかにある植物性を引き出し、普遍的な生き物としての精神性を獲得することを目的としている。主な展覧会に「Dyadic Stem」(The 5th Floor、東京、2020)、「2020||: Wardian case :||」(BLOCK HOUSE、東京、2020)。

 植物としての「主体」と「環境」の関わり方について、渡邊は、人間の体の器の外側に「環境」があるという関係とは異なり、人間という「主体」と人間の体内という「環境」との関わり方に近いとしながら、人間という「主体」の在り方を変えることで「植物に成れる」と考えている。今回の作品では、人間の体内という「環境」を裏返して、人間の「植物性」を表出させることを試みていると言う。

「熱海滞在中に山肌に映る雲の影を眺めていた。海の水平線のような雲の底は大気の中に私たちが包まれていることを実感させてくれる。そして、大地に根を張り地球と接続している植物にとって雲は陰となり雨となり風となり、植物は雲の運動とともに光を求めるため枝葉を伸ばし、酸素を作りだして環境になっていく。人間にも同じような環境があるが体内の器の中に内包されている。植物は大気に向かって直接的に血管を伸ばしていき、人間は体内に向かって間接的に枝葉を伸ばしていき、大気と関わっている。

室内で観葉植物を育てている。赤紫色のLEDは陽の当たらない部屋でも植物を生存可能へ染め上げる。生態に合わせ天気の良い日は日当たりの良い場所へと、寒い日には空調で寒さから身を守り、台風の日にはベランダから部屋の中へと移され、室内という体内で枝葉を伸ばしている。人間に育てられた植物は、与えられた室内という体の器を得ることによって人間性が現出する(渡邊慎二郎)」。