平本成海「Good News」

　2019年、ユニークな手法と虚実の境界を漂うような謎めいた作風が評価され、「第20回写真『1_WALL』」グランプリを受賞した平本成海。その個展「Good News」がPGIで開催されている。

　平本は千葉県出身。2016年から、自身が購読している地元紙に掲載された写真を素材に用いて一日一点のコラージュ作品を制作し、毎日Instagramにアップすることを日課としている。

　本展では、これらのコラージュ作品から「Good News」のタイトルのもと、展示として新たに構成した一連の作品が並ぶ。

「実際の写真作品の展示と、デジタル画像がタイムラインに流れるのとでは作品のあり方も意味も異なる」。平本は今回展示を行うにあたり、作品自体の内容と、モノとしての魅力に注力していると語っている。プリント手法は濃度の異なるグレーインクを組み合わせ、高いシャープネスと豊かな階調を表現できるピエゾグラフィによって制作した。抽象的でも比喩的でもない、目的やコードを失ったような不思議さは、見る者に得体の知れない謎と、静かに立ち止まり思考する余韻を残す。