EXHIBITIONS

大正ロマン・昭和モダンのイラストレーター

高畠華宵展

ジェンダーレスなまなざし

2021.07.03 - 09.26

高畠華宵 夢の花園 華宵便箋表紙原画 大正末~昭和初期

高畠華宵 華麗の夢 華宵便箋表紙原画 大正末~昭和初期

高畠華宵 若き船人 華宵便箋表紙原画 大正末~昭和初期

高畠華宵 馬賊の唄 『日本少年』1929(昭和4)年2月号口絵

高畠華宵 『日本少年』1929(昭和4)年8月号表紙(部分)

高畠華宵 『日本少年』1930(昭和5)年7月号表紙(部分)

「華宵御殿」とよばれた自宅にて弟子と 1927(昭和2)

 弥生美術館では、「大正ロマン・昭和モダンのイラストレーター 高畠華宵展 ―ジェンダーレスなまなざし―」展を開催する。

 高畠華宵(たかばたけ・かしょう、1888〜1966)は、「少年の中には少女が、少女の中には少年がいる」とも評された両性具有的な人物画を描き、熱烈な支持を得たイラストレーター。大正・昭和初期の出版美術界で、華宵が唯一無二の存在感を放った背景には、「男性+女性」としての心と眼を持つ人物だったことがある。

 華宵が活躍した当時の写真の印刷技術が未熟で、写真よりイラストレーションのほうが視覚的効果において優れていた。イラストレーターの描く美少年・美少女像がモデルや女優のような役割を果たし、華宵は美少年も美少女も描けたため、少年と少女雑誌の両方で人気を得た。

 本展では、 晩年の華宵と親交を結んだ、弥生美術館の創設者・鹿野琢見に託された、美麗な原画の数々を一挙公開。全国の華宵ファンから寄贈された資料や、華宵と鹿野との交流を語る秘蔵資料も加え、およそ300点が展示される(会場内は撮影が可能)。

 世間の枠にとらわれず、自らの価値観と美意識を信じ、「ありのままの自分」を生きた華宵だからこそ描けた、ボーダーレスな作品世界を楽しみたい。