EXHIBITIONS

まなざしのカタチ.02

浦川大志 小林健太 山形一生

2021.05.29 - 06.27

小林健太 Shibuya_1-9, #9squares #smudge 2020

浦川大志 部屋の隅(黴) 2021

山形一生 Airbag(仮) 2021

 WAITINGROOMでは、浦川大志、小林健太、山形一生のアーティスト3人によるグループ展「まなざしのカタチ.02」を開催する。

 本展は2020年2月に開催したグループ展「まなざしのカタチ」から拡張された企画。3名の女性ペインターそれぞれの眼差しが交差した1回目の展覧会に続き、今回は3名の男性アーティストが、絵画・写真・映像という異なったメディウムを通して、それぞれの「まなざし」を表現するグループ展となる。

 浦川大志は1994年福岡県生まれ。現在も出身地を拠点に活動。スマートフォンを通して取得した情報や身体感覚をもとに、デジタル的な筆致を特徴とする絵画作品を制作している。その制作方法は、画像検索やSNSを使って集めた画像やイラストを、自身が撮影した写真と組み合わせて「風景画」として構築するというものであり、出品作の新作も同様の方法でつくられている。

 浦川によって断片的な現実でつくられた風景画は、スマートフォンなどが持つディスプレイがもっとも身近な平面となり、インターネットによってつねに手軽に仮想世界への接続が可能となった現代における、私たちの視覚への影響や変化に対する示唆を感じさせる。

 小林健太1992年神奈川県生まれ。自身で撮影した写真に大胆なデジタル加工を施して作品を手がけており、本展では、渋谷の夜景や日常風景がモチーフの平面作品、写真へのデジタル加工部分を抽出した立体作品に加え、2017年の個展で発表した作品を発展させた、スニーカーと自動車をコラージュした新作も発表する。

 時に人々の情緒を刺激し扇動すら促す、靴や自動車、建築などの曲線美と、テクノロジーの進歩によって生まれた美的感覚に惹かれていることを自覚的に取り入れて制作される小林の作品には、「一見、テクノロジーを操りきれているように見える人間は、実は逆にそれらに操作されていると言えるのではないか」という、現代における都市や日常に対する眼差しが色濃く反映されている。

 山形一生は1989年埼玉県生まれ。その作品の多くは、動植物の飼育経験や、ゲームやインターネット上での経験に基づき、コンピュータグラフィックスを用いて制作されている。

 本展において山形は、複数の映像作品を発表。解像度の浅いドットで描かれた卵のようなイメージが墓のイメージへ変わっていく9スクリーンのインスタレーション作品、生命が転んだり飛び降りたり、危険にあってしまう時にどのように守られたらいいのかを考察するデュアルスクリーンの映像作品、作家自身のiPhoneのカメラロール内にある移動のシーンを撮影した映像を集めてモンタージュした作品など。粒子の荒いドットや細部の情報が削がれた3DCGによって描写され、仮想的に表現される山形の作品は、私たちを含む生命の生々しさや流動性を、現実味をもって意識させる。