EXHIBITIONS
館蔵
春の優品展 古筆を知る
五島美術館が展覧会「春の優品展 古筆を知る」を開催する。本展では、五島美術館と大東急記念文庫の収蔵品から、平安・鎌倉時代に書写された古筆を中心に、歌仙絵や工芸作品など約50点を展観(会期中一部展示替あり)。主に江戸時代に活躍した筆跡鑑定家・古筆見にも目を向けながら、鑑定結果を記した「極札」などの付属資料も一部紹介する。
「古筆」という言葉は、本来「古い筆跡」を意味するもの。現在は、歌集などを中心とした平安時代から鎌倉時代初期にかけて書かれた仮名書きを指し、広くは物語や絵巻に添えられた詞書(ことばがき)や天皇自筆の筆跡である宸翰(しんかん)、さらには古写経の断簡なども含む。
桃山時代には公家や大名、数寄者などのあいだで古筆の鑑賞や蒐集が流行した。本来巻物や冊子であった古写本が次々に分割され、掛物や手鑑(てかがみ)に仕立てられた。さらに、古筆の鑑定を本業とする「古筆見」または「古筆目利(こひつめきき)」と呼ばれる職種が誕生。その代表格が、古筆了佐(りょうさ、1572~1662)を初代とする古筆家(こひつけ)だ。
古筆蒐集の流行は江戸時代初期には最盛期を迎え、古筆家は近代の13代・了信(りょうしん、1877~1953)まで続いた。この間、古筆別家や門弟筋をはじめとする多くの鑑定家が活躍。古筆見(古筆目利)たちは、依頼に応じて筆者を判定し、鑑定書である「極札(きわめふだ)」(筆者名や内容、極印を押した小型の短冊)や「折紙(おりかみ)」を発行した。ただし、筆者については根拠に欠ける場合が多いことから、近代以降は主に古筆家の鑑定による筆者を「伝称筆者(でんしょうひっしゃ)」と呼び、自筆資料と区別して筆者名に「伝」を冠している。古筆見たちが鑑定を手がけた対象は、仮名の書に限らず、絵画・墨跡・茶道具の箱書付にも及んだ。
本展では、館蔵の名品に付属する極札や、江戸時代に古筆鑑定の参考書として民間でロングセラーとなった版本『古筆名葉集』などを併せて展覧し、古筆鑑定の一端を紹介する。
※五島美術館は、政府による緊急事態宣言発出に伴い、4月25日〜5月31日まで休館・休園。最新情報は公式ウェブサイトへ。
「古筆」という言葉は、本来「古い筆跡」を意味するもの。現在は、歌集などを中心とした平安時代から鎌倉時代初期にかけて書かれた仮名書きを指し、広くは物語や絵巻に添えられた詞書(ことばがき)や天皇自筆の筆跡である宸翰(しんかん)、さらには古写経の断簡なども含む。
桃山時代には公家や大名、数寄者などのあいだで古筆の鑑賞や蒐集が流行した。本来巻物や冊子であった古写本が次々に分割され、掛物や手鑑(てかがみ)に仕立てられた。さらに、古筆の鑑定を本業とする「古筆見」または「古筆目利(こひつめきき)」と呼ばれる職種が誕生。その代表格が、古筆了佐(りょうさ、1572~1662)を初代とする古筆家(こひつけ)だ。
古筆蒐集の流行は江戸時代初期には最盛期を迎え、古筆家は近代の13代・了信(りょうしん、1877~1953)まで続いた。この間、古筆別家や門弟筋をはじめとする多くの鑑定家が活躍。古筆見(古筆目利)たちは、依頼に応じて筆者を判定し、鑑定書である「極札(きわめふだ)」(筆者名や内容、極印を押した小型の短冊)や「折紙(おりかみ)」を発行した。ただし、筆者については根拠に欠ける場合が多いことから、近代以降は主に古筆家の鑑定による筆者を「伝称筆者(でんしょうひっしゃ)」と呼び、自筆資料と区別して筆者名に「伝」を冠している。古筆見たちが鑑定を手がけた対象は、仮名の書に限らず、絵画・墨跡・茶道具の箱書付にも及んだ。
本展では、館蔵の名品に付属する極札や、江戸時代に古筆鑑定の参考書として民間でロングセラーとなった版本『古筆名葉集』などを併せて展覧し、古筆鑑定の一端を紹介する。
※五島美術館は、政府による緊急事態宣言発出に伴い、4月25日〜5月31日まで休館・休園。最新情報は公式ウェブサイトへ。