EXHIBITIONS

八谷和彦「秋水とM-02J」

2021.03.11 - 04.18

オシュコシュエアショー ©︎ Kazuhiko Hachiya Courtesy of the artist and MUJIN-TO Production

オシュコシュエアショー ©︎ Kazuhiko Hachiya Courtesy of the artist and MUJIN-TO Production

柏飛行場の秋草 撮影=木村秀政 所蔵=田中昭重 提供=柴田一哉 カラー化=渡邉英徳(「記憶の解凍」プロジェクト)
カラー化監修=片渕須直

撮影者不明 所蔵=田中昭重 提供=柴田一哉 カラー化=渡邉英徳(「記憶の解凍」プロジェクト)

 メディア・アーティスト、八谷和彦の個展「秋水とM-02J」が開催中。無人島プロダクションでは14年ぶりの展示となる。

 八谷は1966年佐賀県生まれ。《視聴覚交換マシン》や《見ることは信じること》などの特殊コミュニケーション・ツール・シリーズや、ジェットエンジンつきのスケートボード《エアボード》、パーソナルフライトシステム《オープンスカイ》など、機能を持つ装置を備えた作品を多く手がけている。

 本展では、八谷が2003年より進めてきた「OpenSkyプロジェクト」より、無尾翼機「M-02J」を無人島プロダクションで初めて展示。「M-02J」はジェットエンジンを搭載した一人乗り飛行装置で、機体の形状で想像できるように、アニメーション映画およびマンガ作品『風の谷のナウシカ』から着想を得て設計された。この「OpenSky」プロジェクトがスタートした2003年はイラク戦争が勃発した年。八谷は、アメリカとイラクによる戦争に、日本を含む辺境の国家が翻弄される様子を重ね合わせ、戦争拡大を回避するために奔走するナウシカが争いの終結のために使う「メーヴェ」のような飛行具を自作しようと考えた。

 それから10年という長い時間をかけ、八谷はジェットエンジン搭載の「M-02J」の自力飛行に成功。機体番号が認可されるまでに至り、その後「M-02J」は飛行試験を重ねて、19年には次のゴールとして設定していたアメリカでのフライトも実現させた。

 本展では「M-02J」の実機の展示を中心に、太平洋戦争中に日本陸軍と日本海軍が共同で開発を進めたロケット局地戦闘機「秋水」の資料も紹介している。

「M-02J」と同じ無尾翼機である「秋水」は、戦時中多くの航空機を製造していた日本で、空襲に飛来する「B-29」の迎撃を目的として生まれ、終戦直前に試験飛行をしたものの、試作機のみで終わった飛行機。終戦間際、最終決戦兵器として製造された「秋水」と、斜陽となった国内の航空機産業の状況のなかで制作された「M-02J」とを比較することで、「過去」と「現在」だけでなく、「終わりのなかで見えてくる未来」を会場で感じてもらえたらとしている。

 また「M-02J」の設計を担った有限会社オリンポスのエンジニア・四戸哲と、その師であり、戦前に長距離飛行の世界記録を達成した「航研機」や「秋水」の開発にも一部関わった木村秀政の、2人のつながりにも焦点を当てる。