EXHIBITIONS

特別展

自然の秘密をさぐる―高島北海没後90年記念―

2021.01.30 - 03.14

高島北海 初夏の花図 1908 下関市立美術館蔵

 高島北海(1850~1931)は、前半生に地質や森林を専門とする技術官僚を務め、のちに国内外の山岳や植物を主題に描いた異色の日本画家。その没後90年を記念した特別展「自然の秘密をさぐる─高島北海没後90年記念─」が下関市立美術館で開催されている。

 長門国萩(現・山口県萩市)に生まれ、医師の息子として育った高島は、農商務省などで技術官僚として勤務した後、画家に転身。独学で絵を習得し、東京と下関を拠点に山水画や花鳥画を多く手がけ、明治~昭和初期の日本画壇の重鎮として活躍した。

 1880年代後半には、森林学を学ぶためフランスに留学しており、その間、エミール・ガレらナンシー派の美術家たちと交流。晩年は作画に加え、長門峡など山口県内の名勝開発にも尽力した。2020年は、高島の長門峡の探勝と命名から100年目にあたる。

 本展では、自然科学の知識と、国内外各地を巡った経験が生んだ高島の作品を約30点展示。また自然に魅了され、その秘密を迫ろうとした芸術家や研究者たちの表現や試みを、「山・渓流」「植物」「身近な自然・海」を切り口に、約90点の絵画、写真、工芸美術によって紹介する。

 主な出展作家は、浅井忠、杉本博司、田能村竹田、菱田春草、福田平八郎、カール・ブロスフェルト、牧野富太郎、森寛斎、吉田博、G.D.エーレト、高橋由一、川合玉堂など。