EXHIBITIONS

タムラサトル、baanai、田村琢郎「Connect #1」

2021.01.16 - 03.06

田村琢郎 Lovers#6 2020

baanai 「ARIGATOUGOZAIMASU」(ZEN FLOW No.3 / BBF 019G-48) 2020

タムラサトル Point of Contact for 20 Incandescent Lamps #7 2018

 タムラサトル、baanai、田村琢郎のアーティスト3名によるグループ展「Connect #1」が開催される。

 タムラサトルは1972年栃木県生まれ。現代文明に欠かせない電気を作品に取り込んで制作を続けている。本来、社会や生活を動かすためのエネルギーを使用し、動力となってワニを回す、時には計測器となって美を数値化し、ある時はプラスとマイナスの電極をギリギリに接触させてランプを灯す。タムラの作品において電気は、何かを生産・維持するといった意義をまっとうせず、ただ作品を動かすために存在し、作家が「素材・形態がもつであろう意味・設定・目的からも、自由でありたい」と語る訴えを具現化している。

 baanaiは、2015年にCOMME des GARÇONSの川久保玲にポートフォリオを送り、初めて作品が採用されたところから本格的に作家活動を開始。その後、多くのブランドに作品が起用され、次々に個展を成功させている。一見華やかに見える活躍の裏側で、baanaiはひたむきに、自身のアートを追求。執拗なまでに反復した「ARIGATOUGOZAIMASU」の文字によって画面全体を埋め尽くすという、作家独自のスタイルによって生み出される作品は、何層にも塗り重ねられ、見る者を引き込む。グラフィティの要素が強い表現とあいまって描かれる言葉は、作家の慟哭にも聞こえ、平面を構成する以上の空間性をもって作家の「生」を伝える。

 田村琢郎は1989年大阪府生まれ。2016年に京都芸術大学(旧・京都造形芸術大学)を卒業した後、名和晃平が率いるアーティスト集団「SANDWICH」でアシスタントを務めた。バンクシーと名和晃平に影響を受ける田村は、物事を俯瞰してとらえ、もともとの文脈から切り離して作品化する。「Lovers」のシリーズでは、2つのカーブミラーが恋人たちを演じ、ミラーに互いを映し出す。カーブミラーはもとあった交差点から切り取られ、向こうにある危険など忘れて、かつての目的を果たすことはない。田村はこのように文脈の組み換えを行うことで、物事がもつ意味性を問い直している。

 本展では、世代や活動する地域、表現方法も異なるいっぽうで、共通して強いメッセージ性のある3人の作品を展示。ギャラリー空間で3人の表現が組み合わされ、鑑賞者とつながり、新しい価値観を互いに見出す瞬間を体験できるだろう。