EXHIBITIONS

オディロン・ルドン展ー「聖アントワーヌの誘惑」

2020.12.11 - 12.26

オディロン・ルドン XX. 死:おまえを救えるのは私だ 抱き合おう 1896年(1933年刊)

オディロン・ルドン XXIV. ついに陽が昇った…そして太陽の円光の中にイエス・キリストの顔が輝く 1896年(1933年刊)

オディロン・ルドン V. 花が散り 怪しい蛇の頭が現われる 1896年(1933年刊)

 ギュスターヴ・フローベールの小説『聖アントワーヌの誘惑』は着想から30年近い歳月をかけて1874年に刊行された。紀元3世紀の聖者アントワーヌが、テーベの山頂の庵で一夜にして古今東西の様々な宗教・神話の神々や魑魅魍魎の幻覚を経験した後、生命の始原を垣間見、やがて昇り始めた朝日のなかにキリストの顔を見出すまでを絵巻物のように綴っていく幻想的な作品だ。

 オディロン・ルドンは『聖アントワーヌの誘惑』を題材に42点(表紙を含む)のリトグラフを制作した。幻覚を見るような魔的な世界を、自身「あらゆる色彩のなかでもっとも本質的な色」とした黒一色で表現したルドンの代表作として知られている。

 1888年に第一集(全11点、限定60部)、翌1889年に第二集(全7点、限定60部)を制作、第三集は1896年の初版(全24点、限定50部)と1933年版(全22点、限定220部、1938年刊行)の2種類のエディションがある。

 本展では『聖アントワーヌの誘惑』第三集第二版の全22点をはじめ、「ベアトリーチェ」「ブリュンヒルデ(神々の黄昏)」「子供の顔と花」などルドンの版画の代表作を展示する。