EXHIBITIONS

マシュー・バーニー、キャロリー・シュニーマン、白髪一雄、田中泯

キャロリー・シュニーマン Up to and Including Her Limits 1973-1976 © Carolee Schneemann Courtesy of the Estate of Carolee Schneemann, Galerie Lelong & Co., Hales Gallery, and P•P•O•W, New York

 マシュー・バーニー、キャロリー・シュニーマン、白髪一雄、田中泯にグループ展がファーガス・マカフリー東京で開催される。本展は、各世代を代表するアーティスト4名による作品を同時展示する初の機会。「制作」という行為を強く意識させる4人の作品から、時代・東西を超えた「身体性」について考察する。

 前衛芸術グループ「具体美術協会」に参加し、パフォーマンスと絵画が融合する「アクション・ペインティング」を確立した白髪一雄。本展で展示する、黒の単色で構成された作品《蛭子》(1992)の表面には、天井に吊るしたロープで体重を支え、即興で描いた白髪の身体の軌道を見ることができる。

 田中泯は、感覚的に調整を加えるという、精神物理的な探求において白髪と共通点をもつ。新型コロナウイルスによる隔離生活を送るなかで、田中が山梨県・白州の山中で撮影したホームメイドの映像《dance》(2020)は、世界中が体験しているコロナの影響による非現実的な現状を反映しているかのような、感情にあふれ、絶妙な物理的ニュアンスに富んだ身振りを映し出す。

 主にパフォーマンス・アーティストとして知られているキャロリー・シュニーマンは、イメージと、イメージのつくり手が合体した行為としての絵画への取り組みをベースに作品を展開した。本展では、1970年代のパフォーマンス《Up to and Including Her Limits》からのインスタレーションを展示。2008年に自身の体の変化を実験するため、作家のスタジオ内でプライベートで行われた最後の制作行為を留める同作品を、73〜76年に行われたパブリック・パフォーマンスの映像とともに公開する。

 シュニーマンの次の世代に生まれたマシュー・バーニーは、強制力や抵抗に対抗する道具として、身体を用いる作品に長年取り組んできた。長編映画、大型彫刻、写真作品群からなある《DRAWING RESTRAINT 9》(2005)は、バーニーの日本文化に対する研究とそこから受けたインスピレーションの結果であり、多くの議論がなされる捕鯨工場船に焦点を当てた作品。本展では、その物語の重要な要素となる彫刻《The Cabinet of Nisshin Maru(日新丸)》(2006)を展示する。

 4名のアーティストは、すでに確立されていたかたち、物質、構成についての美術史的解釈に挑むような革新的なビジョンを組み立て、ダンス、パフォーマンス、絵画、彫刻を通して現される人間の具現化における共通言語を発掘してきた。4人の作品が呼応するなか、本展は身体の美術を生み出すことに対する衝動の歴史をたどる。