EXHIBITIONS

<企画展>田島征三展『ふきまんぶく』

―それから、そして、今―

2020.03.01 - 05.11

田島征三 『ふきまんぷく」(僧成社)より 1973 ちひろ美術館寄託

田島征三 『ふきまんぷく」(僧成社)より 1973 ちひろ美術館寄託

田島征三 春の仕事 1977 個人蔵

 自然豊かだった東京都日の出村(現・日の出町)での生活体験がもととなった絵本『ふきまんぶく』を起点に、アーテイスト・田島征三が描く生命の表現の軌跡を紹介する。

 田島は1940年大阪府生まれ。62年に手刷り絵本『しばてん』を制作し、65年に初めての絵本『ふるやのもり』を出版。69年より東京の日の出村で農耕生活を営み、ごみ処分場建設反対運動など次世代の命を守る闘いに関わる。その後、同地で取り組んでいたゴミ処分場建設反対運動の体験をもとに、絵本『やまからにげてきた・ゴミをぽいぽい』を制作する。

 98年より伊豆半島に移住し、木の実など自然の素材を用いた作品も発表。2005年より、田島らの発案で、韓国、中国、日本の絵本画家たち12名による平和絵本プロジェクトを開始し、戦いで失われていった命を描いた『ぼくのこえがきこえますか』を通して、戦争の愚かさを表現した。

 09年、新潟県十日町市鉢集落の廃校を「空間絵本」にし、「絵本と木の実の美術館」とした開館。13年には、香川県大島にてハンセン病の元患者の療養所で、入所者が暮らしていた建物を丸ごと「空間詩・青空水族館」に改築する。69年に『ちからたろう』でBIB金のりんご賞を、74年に『ふきまんぶく』で講談社出版文化賞絵本賞に選ばれるなど受賞多数。

 本展では、『ふきまんぶく』が描かれた当時の背景を交えながら、大胆な構図、生き生きとした少女、泥絵具の質感などで読者をとらえる同作品の原画やスケッチを展示。加えて、現在制作中の絵本『つかまえた』(仮題)の原画や、タブ口一作品から、命を描き続ける作家のいまを紹介する。