EXHIBITIONS

開館40周年記念 太田記念美術館所蔵

肉筆浮世絵名品展

―歌麿・北斎・応為

2020.01.11 - 02.09

葛飾応為 吉原格子先之図

葛飾北斎 雨中の虎

喜多川歌麿 美人読玉章

 太田記念美術館が開館40周年を記念し、浮世絵の幅広いコレクションのなかから肉筆画の名品を選りすぐって公開する。

 1980(昭和55)年に浮世絵専門の美術館として原宿でオープンした太田記念美術館。かつて東邦生命相互保険会社の社長を務めた五代太田清藏(1893~1977)が生涯にわたって蒐集した浮世絵を中心とする約1万4000点のコレクションを所蔵し、版画・肉筆画ともに絵師や時代に偏りの少ないコレクションを、企画展などを通して紹介してきた。

 本展ではそのなかでも、肉筆画の名品を厳選して展示。菱川師宣からはじまり、懐月堂派、宮川派、鳥居清長や喜多川歌麿、葛飾北斎と応為などの葛飾派、また歌川豊春、豊国、国芳、広重などの歌川派、そして明治時代に活躍した小林清親や月岡芳年まで、長い浮世絵の歴史を彩る浮世絵師たちの1点ものが勢揃いする。

 なかでも注目したいのは、葛飾北斎の《雨中の虎》とその娘・応為による《吉原格子先之図》の共演。《雨中の虎》は北斎の没年に描かれた傑作であり、2005年にフランスのギメ美術館に所蔵される《龍図》と対になることが発見されたことでも知られる。

 応為の希少な作品のひとつである《吉原格子先之図》は本展が約2年ぶりの公開。光と影の大胆な描写で江戸の遊郭・吉原の夜を描き出し、暗闇のなかに人々の姿が浮かび上がる幻想的な作品となっている。