EXHIBITIONS

おかえり 美しき明治

2019.09.14 - 12.01

笠木治郎吉 花を摘む少女 星野画廊蔵

アルフレッド・イースト 富士山 府中市美術館蔵

中川八郎 秋郊 郡山市立美術館蔵

 西洋文化が押し寄せた明治の日本と、イギリスの美術交流に焦点を当てた展覧会が開催されている。

 明治時代、イギリスから日本に憧れて多くの旅行家や画家が来日し、慎ましい日本人の暮らしや美しい風景に心を動かされ、優れた紀行文や絵画を残した。日本に魅了された画家のひとり、チャールズ・ワーグマンは、高橋由一らに西洋画法を教え、画家で園芸家のアルフレッド・パーソンズは、日本の花々を訪ね歩いて講演会や展覧会を開催して、画家の三宅克己などに大きな影響をおよぼした。これらの動きは、1910年頃の大水彩画ブームへとつながり、日本人の青年画家たちが風景描写に詩情を加えた独自の水彩画「みずえ」が、来日した人々の手土産として海へ渡った。

 今日までイギリスをはじめとする海外で大切に保管される、明治の日本を描いた日本人と英国人画家の作品。その一部が近年里帰りしてくるようになり、謎の画家・笠木治郎吉など、従来の日本の水彩画史の再考を促すような作品も新たに発見された。さらに、日本人画家があまり描くことのなかった子供たちのありのままの様子や、道に咲く花々を克明に描いた英国人画家たちの作品も見つかっている。
 
 本展では、海外に渡った幻の画家の作品を含む約300点を、富士、日光、街道、人物、生活などをテーマに展示。来日した英国画家たちに触発された日本人画家の作品に外国人画家のまなざしを交え、現代に明治という時代の「美しき」輝きを里帰りさせる。