EXHIBITIONS

黒住章堂

2018.12.12 - 2019.01.14

黒住章堂 竹虎図襖(部分) 1935 寂光院蔵

黒住章堂 牡丹孔雀図襖(部分) 1935 寂光院蔵

 廃仏毀釈を受けた全国の寺院の再興に生涯を懸けた、知られざる画家・黒住章堂(くろずみ・しょうどう)。岡山県御津郡一宮村(現・岡山市北区)に生まれ、早くから絵の道を志し、岡山や京都で四条派画家に学んで、京都画壇の巨匠・竹内栖鳳に師事した。

 25歳のときに父が亡くなったのを機に帰郷し、吉備津彦神社の御用絵師なども務めた。この頃より寺社再興の資金集めとして観音図制作を始め、その数は何千枚にも上るとされている。50代に出家した章堂は、神奈川県葉山の慶増院(のちの高養寺、現在は逗子市へ移築)の住職を務め、寄付金を集めながら、同寺の廃寺の危機を救った。

 本展は、章堂の名が注目されるきっかけとなった和歌山市の《寂光院襖絵》を中心に展示。色鮮やかでありながら信仰の場にふさわしい落ち着いた画面となっている。画家としての功名を追い求めることなく、祈るように筆を揮ったその画業を紹介する。