EXHIBITIONS

駒井哲郎 ―煌めく紙上の宇宙

2018.10.13 - 12.16

駒井哲郎 題名不詳 1971頃 世田谷美術館(福原義春コレクション) © Yoshiko Komai 2018 / JAA1800117

駒井哲郎 黄色い家 1960 世田谷美術館(福原義春コレクション) © Yoshiko Komai 2018 / JAA1800117

長谷川潔 林檎樹 1956 横浜美術館

オディロン・ルドン 二人の踊女 制作年不詳 横浜美術館(坂田武雄氏寄贈)

パウル・クレー 大聖堂(東方風の) 1932 アサヒビール株式会社

 多彩な技法を駆使し、深淵な詩的世界で日本の現代銅版画を開拓した駒井哲郎の幅広い表現を一望する展覧会が開催される。

 駒井は1920年生まれ。月刊誌『エッチング』で銅版画を知り、西田武雄が設立した日本エッチング研究所で学ぶ。47年に木版画家・恩地孝四郎を中心とした版画研究会「一木会」の同人となるも、一貫して銅板画を手がけ、新たな技法を模索。主題も写実的な風景から内心的な世界へと一転する。

 銅版画を追求するいっぽう、52年に前衛芸術集団「実験工房」に参加し、立体オブジェなどを制作。50年代後半から大岡信や安東次男ら詩人たちと詩画集の出版や詩集の装幀などにも取り組んだ。また、西洋美術史にも精通し、ルドンやクレー、ミロなど敬愛する芸術家たちについての評論を美術雑誌などへ数多く寄稿。自身の芸術観の形成において、西洋画家たちの作品から大きな影響を受けた。

 本展は、初期〜晩年までの駒井作品、知られざる色彩家の一面をのぞかせる1点摺りの版画、詩画集など約210点とともに、ルドンやレンブラント、ホイッスラー、長谷川潔、瀧口修造など関連作家の作品約80点も紹介。様々なジャンルとのつながりから多面的な駒井の姿をとらえ直し、新たな魅力に迫る。