EXHIBITIONS

バウハウスへの応答

2018.08.04 - 10.08

山脇巌 バウハウス・デッサウ 1931 武蔵野美術大学 美術館・図書館蔵 © 山脇巌・道子資料室

ライオネル・ファイニンガー 『バウハウス宣言』表紙 1919 大阪新美術館建設準備室蔵

作者不詳 バランスの習作(モホイ=ナジの予備課程) 1924-25(再製作:1995) ミサワバウハウスコレクション

クリシュナ・レッディ 無題 1944 個人蔵(クリシュナ・レッディ、NY)

和歌山市に於ける構成教育講習会(『建築工芸アイシーオール』1933年3月号より)

 バウハウスの今日的意義を再考する国際プロジェクト「bauhaus imaginista」の一環として、バウハウスの教育理念とカリキュラムが日本とインドでどのように受容され、展開したのかをたどる日本唯一の展覧会が開催される。

 1919年にドイツ・ヴァイマールで設立された総合的造形芸術教育機関「バウハウス」。設立に際して、初代校長のヴァルター・グロピウスが公にした『バウハウス宣言』の表紙には、建築・絵画・彫刻の3つのジャンルを表した尖塔を持つゴシック様式の聖堂が描かれている。実践を重視しながら、絵画・彫刻からデザイン、建築に至る造形活動を包括的に指導することを目的としたバウハウスの教育理念は、独創的なカリキュラムとともに、ドイツ国内のみならず、インドや日本にまで多大なる影響を及ぼした。

 本展では、とりわけ工房教育と予備課程に注目しながら、学生たちの作品や山脇巌・道子夫妻のバウハウス留学時の写真を収めたスクラップ・ブックなど、ドイツ、インド、日本などに残される約100点の関連資料を展示。日本での「構成教育」を主導した川喜田煉七郎の幻の国際コンペ作品《ウクライナのハリコフ劇場》の模型を原寸大再現に加え、ルカ・フライとオトリス・グループの気鋭のアーティストたちが、バウハウスと日本とインドをめぐる新作を発表する。

 敗戦という社会状況を背景とし、美術・デザイン教育だけでなく社会そのものの刷新をも目指した『バウハウス宣言』を起点に、美術教育における理念と実践、社会とのつながりの重要性など、今日を取り巻く様々な問題を考える機会となるだろう。