EXHIBITIONS

木版画の神様 平塚運一展

2018.07.14 - 09.09

平塚運一 ロスアンゼルスの町はずれ 昭和37年 千葉市美術館寄託

平塚運一 鏡No.1 波斯更紗 昭和45年 千葉市美術館寄託

平塚運一 机上小禽 昭和2年 千葉市美術館寄託

平塚運一 雲崗瑞雲、蒙彊 昭和32年 千葉市美術館寄託

平塚運一 奈良十景 東大寺転害門 昭和35年 千葉市美術館寄託

 「木版画の神様」と称され、生涯を閉じる102歳まで版業を続けた平塚運一の、関東では18年ぶりとなる大規模回顧展が開催される。

 平塚は1895年、島根県松江市出身。実家は宮大工を営み、木材と彫刀に囲まれた環境で幼い頃から木版画に親しんだ。1913年、松江市で開催された洋画講習会で講師の石井柏亭と出会ったことをきっかけに画家を志し、14年に上京。半年のあいだ彫師の伊上凡骨を内弟子となり、伝統的な彫版を身につけた。同じ頃、初期仏教版画を発見し、その素朴さや力強さに影響されながら自身のスタイルを築くと、以後国画会と日本版画協会を主な舞台に活躍する。

 作品は温雅な多色摺から始まり、昭和初年以降は豪快な黒白の構成へと展開。戦後には67歳にしてアメリカに渡り、同地の風物を題材に新たな作風を開拓した。さらに70年代には裸婦を主題にみずみずしい一群を残している。

 ひときわ高く自在な技術から「木版画の神様」と呼ばれた平塚は、よき指導者としても知られ、技法書や版画講習会を通じて彫り、摺ることの喜びを伝えて棟方志功ら多くの後進を育てた。

 本展では、最初期の版画雑誌掲載作品から、100歳を超えて制作した最晩年の作品まで、80年におよぶ旺盛な版業を回顧し、古代と現代、東洋と西洋を架橋したと言われる、平塚の強靭かつ華麗な作品世界を紹介する。