EXHIBITIONS

ルドン ひらかれた夢ー幻想の世紀末から現代へ

2018.07.22 - 09.26, 2018.09.28 - 12.02

オディロン・ルドン 《Ⅲ.不恰好なポリープは薄笑いを浮かべた醜い一つ目巨人のように岸辺を漂っていた》『起源』 部分 1883 岐阜県美術館蔵

オディロン・ルドン 《日本風の花瓶》 1908 ポーラ美術館蔵

オディロン・ルドン 神秘的な対話 1896頃 岐阜県美術館蔵

オディロン・ルドン ヴィーナスの誕生 1912頃 ポーラ美術館蔵

イケムラレイコ Genesis I 2015-17 ShugoArts蔵

鴻池朋子 素焼粘土 2013 個人蔵

 版画作品からパステル、素描、油彩画、装飾美術まで、オディロン・ルドンの初期から晩年の傑作を網羅した展覧会が開催されている。

 19世紀末〜20世紀初頭にかけてフランスで活動したルドンは、印象派の画家たちとほぼ同じ世代に生まれながら、心の中に潜む「内なる世界」に向き合い、不気味な怪物たちがうごめく光景や神秘に満ちた幻想的な作品を制作し続けた「孤高の芸術家」として考えられてきた。

 しかし、公開された手記や手紙に基づく客観的な分析によって、ルドンは過去の美術史上の傑作や同時代の美術作品をはじめ、自然科学の挿図や戯画といった大衆文化などから多大なる影響を受けていたことが明らかになっている。

 本展では、世界的なルドン・コレクションを誇る岐阜県美術館の作品を中心とする101点を展示。近年の研究をもとに、「夢の世界に生きた孤高の幻想画家」を解体し、様々な価値観が交錯する時代の中で探究を続けたルドンの姿に着目しながら、柄澤齊、イケムラレイコ、鴻池朋子らルドンと通じ合う幻想的なテーマを追い求める現代作家、また水木しげるや、『寄生獣』の岩明均、『悪の華』押見修造まで、ルドンを連想させる「目玉」の表現によって奇想のマンガを展開する作家たちの作品を比較することで、19世紀という時代にとどまらない、ルドン芸術の今日的な意義を検証する。