EXHIBITIONS

今津景

Measuring Invisible Distance

2018.06.09 - 07.14

今津景 Swoon(参考画像) ※Work in progress 2018

 美術史における身体性のデッドエンドとその進化を標榜し、Photoshopで再構成した古今東西の画像データをキャンバスに描き直す今津景が、「Measuring Invisible Distance(見えない距離をはかる)」をテーマに個展を開催する。

 本展では、《Swoon(気絶)》と題された約2×4メートルの大作を中心に、コンスタンティン・ブランクーシの彫刻《眠れるミューズ》などを題材にした新作を発表。《Swoon》は、進化論の図、ルーカス・クラーナハが描いたイヴ、母子像など、進化と母性を主題としたモチーフを意図的に引用し、最背面には、身体に描く小さな絵画として今津が興味を持つネイルアート(マニキュア)を施した女性の手が描かれる。

 同作には近年考察を続けてきた「構造物の輪郭線」やドローイングが画中画として大胆に取り入れられ、生命や芸術の歴史を主軸として絵画を思考してきた作家の時間そのものが緻密に表現されている。

 また、柔らかな色調の画面の中心部に唐突現れ、コンピュータのモニタ上でマウスを無意識に動かした軌跡のようにも見える線は、Photoshopのツールでコンピュータ上のデータに触れる作家と、巨大なキャンバスに絵具と筆で取り組む作家との「身体性」の共通点を同時に示す重要な役割を担う。

 このほか、「パソコンでつくった画像をリピートするときに、どうやって絵具の予期せぬ表情をアドリブのようにつけ加えることができるのか」という興味から制作された一連の作品も並ぶ。