EXHIBITIONS

OPEN SITE 7 Part 2

ルイーズ・ラウス&アグスティン・スピネット 300km 2022

小林椋 州ん 2020 Photo by ToLoLo studio

たくみちゃん ―(dash) 2021 Contrail 撮影=コムラマイ

高松霞 連句×盆踊り 2020

アド モーニングス Ad Mornings_Nuclear 20201211_20210316 2021 撮影=大塚敬太

志村信裕 Nostalgia, Amnesia 2019

 すべてのジャンルに創造の場を開いた、アート・プラットフォーム「OPEN SITE」は、2016年から開始したトーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)の企画公募プログラム。展覧会やパフォーマンス、ワークショップなど、多岐にわたる企画を開催している。

 7回目となる2022年度は、135企画の応募のなかから展示部門5企画、パフォーマンス部門2企画、そしてdot部門2企画を選出。さらに、TOKAS推奨プログラムと普及プログラムを加えた合計11企画を実施する。会期はPart 1(10月22日~11月27日)、Part 2(12月10日~2023年1月22日)の2期にわたって行う。

「OPEN SITE 7 Part 2」の参加アーティストは、ルイーズ・ラウス&アグスティン・スピネット(展示)、小林椋(展示)、たくみちゃん(パフォーマンス)、高松霞(dot)、アド モーニングス(TOKAS推奨プログラム)、志村信裕(TOKAS普及プログラム)の6組。

 ルイーズ・ラウス&アグスティン・スピネットは、作曲家とビジュアルアーティストの2人が2019年に結成。東京都、ブエノスアイレス、ロンドンを拠点に活動。インスタレーションとなる今展「Sounds from Liminal Towns」では、日本に長期在住し、それぞれ芸術と音楽を研究している2人が、海外から日本に移住してきた外国人女性たちと協働し、各々の未来について考察する(会期:12月10日〜2023年1月22日)。

 小林椋は1992年生まれ、京都府を拠点に活動。ある事物や歴史的な出来事に対して、物理的な装置やオブジェを介入させることで生まれる飛躍、不和や違和感を観察しながら、別様な姿を思弁するための作品を制作している。今回の展示「亀はニェフスのイゥユのように前足を石にのばすと」では、SF作品に登場する見慣れない機械の動きの動作が、身近な動物の仕草に例えられるように、文学作品の表現において、あるものの動きが別の何かの動きに例えられて描写されることに着目。文章中で具体的なものに置き換えられた動きを、実物の観察などを通して、たんなる「動き」として抽出したキネティックな作品へ展開する(会期:12月10日〜2023年1月22日)。

 パフォーマンス部門に選ばれたたくみちゃんは1988年生まれ、東京都を拠点に活動。独自の即興をもとにパフォーミングアーツ、美術、演劇など領域横断的に活動している。本展の会期中では「―(dash)#2 Rosetta Stone」と題した、コミュニケーションの可能性と不可能性を探求する作品を発表する(出演:たくみちゃん、荒木知佳、佐々木すーじん、公演日:2023年1月13日〜1月15日)。

 dot部門の高松霞は、2011年より連句団体「草門会」に参加。12年からはワークショップ「連句ゆるり」を開始し、カードゲームや紙芝居などを取り入れ、連句未経験者が加わりやすい場づくりを行っている。本企画ではイベントなどを通じ、複数人と詠う共同詩「連句の赤い糸」の連句のリズム、緩急、雅俗、重軽といった文学的表現を視覚的表現に翻訳し、句と句のあいだにある糸のようなつながりそのものを鑑賞できるような場を試みる(会期:12月10日〜2022年12月18日)。

 TOKAS推奨プログラムとなる「Place of Living Information」は、新聞の発行を通じて活動するコレクティブ・アド モーニングスによる展示だ。メンバーは、アーティストのJang-Chi、大和由佳、土本亜祐美、シェレンバウム・ゾエ、ユニ・ホン・シャープ、ジョイス・ラム、山科晃一、宇佐美奈緒。新聞の展示、展示の更新、新聞を読むパフォーマンスの3つの要素から展覧会を構成し、17~18世紀に市民個人の民主的な精神や環境を育てた場所として発展したコーヒーハウスをはじめ、新聞の歴史に関わる場所を参照しながら、対話や情報の流通、配布を通じた「生きた情報の場所」をつくり出す(会期:12月22日〜2023年1月7日)。

 そしてTOKAS普及プログラムには、1982年生まれのアーティスト、志村信裕を迎えた「モノと語り」を実施(2023年1月21日・1月22日)。身近な日用品や風景を題材とした映像インスタレーション作品や、ドキュメンタリーの手法を取り入れながら可視化され難い社会問題や歴史に焦点を当てた映像作品を制作してきた志村が、「語り」と映像メディアによる2日間のワークショップを行う。参加者とともに、実用/非実用の2種類に分けられた「モノ」と自身との関係性、記憶や過去の時間を表出させることを試みる。

 各プログラムの詳細は公式ウェブサイトをチェックしてほしい。