EXHIBITIONS

OPEN SITE 7 Part 1

菅実花 Hyper Fake 0001 2020

米澤柊 名無しの肢体 no name 2022

Excitation of Narratives(EoN) 話法の生成-Essay Filmの立地-

前田春日美+豊島彩花 やわらかい杖を置く 2022 撮影=コムラマイ

サトウアヤコ 日常記憶地図インタビュー 2020 提供=長野県立美術館

 すべてのジャンルに創造の場を開いた、アート・プラットフォーム「OPEN SITE」は、2016年から開始したトーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)の企画公募プログラム。展覧会やパフォーマンス、ワークショップなど、多岐にわたる企画を開催している。

 7回目となる2022年度は、135企画の応募のなかから展示部門5企画、パフォーマンス部門2企画、そしてdot部門2企画を選出。さらに、TOKAS推奨プログラムと普及プログラムを加えた合計11企画を実施する。会期はPart 1(10月22日~11月27日)、Part 2(12月10日~2023年1月22日)の2期にわたって行う。

「OPEN SITE 7 Part 1」の参加アーティストは、菅実花(展示)、米澤柊(展示)、Excitation of Narratives(EoN)(展示)、前田春日美+豊島彩花(パフォーマンス)、サトウアヤコ(dot)の5組。

 菅実花は1988年生まれ。千葉県を拠点に活動。主に19世紀の文化を参照し、人形・写真・光学装置を用いて「人間と非人間の境界」を問う。今回の展示「鏡の国」のテーマは「分身」。近年、SNSで自分自身のイメージを表現することや、オンライン会議で自己の姿をモニター上で認識する機会が増えたことを踏まえながら、現代のアバター化する自己認識を描き出すことを試みる(会期:10月22日〜11月27日)。

 米澤柊は1999年生まれ。東京都を拠点に活動するアーティスト、アニメーター。現在のデジタルアニメーションにおけるキャラクターの身体性、またそのアニメーションが生きる空間の空気性に関心を持って制作している。「名無しの肢体」と題した今回の展示空間内では、プロジェクターの光で透過されて向き合う2枚のフレームを設置。フレームとフレームのあいだの「無い身体」を浮き彫りにする映像インスターションを展開する(会期:10月22日〜11月27日)。

 Excitation of Narratives(EoN)はエッセイフィルムの研究プロジェクトとして発足。メンバーは伊阪柊、竹内均、玄宇民からなる。今展「話法の生成-Essay Film の立地-」では、エッセイフィルムという文学におけるエッセイの在り方を援用した話法の研究成果と制作実践の発表する(会期:10月22日〜11月10日)。

 今回、パフォーマンスを展開する美術家の前田春日美とダンサーの豊島彩花は、「身体を置く」「動作を物質としてとらえ直すこと」について対話を重ねながら会期中、作品を制作する。空間/互いの身体/オブジェクトに身体の一部を預ける動きで構成され、痒みや痛みといった自身の意思とは異なる感覚が肌理を這うように「不自由」を互いの身体に移動させることで、誰かの拡張された身体の可能性として、身体への認識の新しい扉を開く(公演日:11月18日〜20日)。

 dot部門に選ばれたサトウアヤコは現在、群馬県を拠点に活動。「カード・ダイアローグ」「日常記憶地図」「マイクロ・ストーリーズ」など想起や対話の方法を開発しながら、言語化や媒介的なコミュニケーションと「ひとりで、ともに」在る場について探求している。今回試みる日常記憶地図「『家族』の風景を『共有』する」は、様々な関係の『家族』の、日常のなかで語られにくい「場所の記憶」と風景を「共有」する場をつくり、他者や未来の「家族」との記憶の媒体となる「日常記憶地図」を制作する(会期:11月23日〜27日)。

 なお「OPEN SITE 7 Part 2」には、ルイーズ・ラウス&アグスティン・スピネット、小林椋、高松霞、アド モーニングス、たくみちゃん、志村信裕の6組が参加予定だ。各プログラムの詳細は公式ウェブサイトをチェックしてほしい。